停戦危機のシリア 安保理で米ロが非難の応酬

停戦危機のシリア 安保理で米ロが非難の応酬
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国連総会が開かれているニューヨークの国連本部で、停戦が危機に直面しているシリア情勢をめぐり安全保障理事会の首脳級の会合が開かれましたが、ロシアのラブロフ外相とアメリカのケリー国務長官が互いに停戦を脅かしているとして非難の応酬を繰り広げました。
シリアでは先週、アサド政権と反政府勢力との間で1週間を期限とする停戦が発効しましたが、その後も双方の戦闘が再発し、再び停戦が危機に直面しています。
こうした中、21日には国連総会に出席するためニューヨークの国連本部を訪れている各国の首脳や閣僚による安保理の会合が開かれました。この中で国連のデミストラ特使は「現在の状況を乗り越えなければすべてが台なしになる。交渉して妥協し、次の対話に向け準備する必要がある」として、和平プロセスを推し進めるべきだと訴えました。

しかし、ロシアのラブロフ外相は「政府軍が撤退しても反政府勢力はむしろ攻撃をしかけている」と述べ、停戦を脅かしているのは反政府勢力側だと非難しました。

これに対してアメリカのケリー国務長官は、支援物資を輸送する国連などの車列が攻撃されたことなどに言及し「ロシア軍やシリア軍が停戦に従うつもりがあるのか強い疑念がある」と、強く反論しました。

安保理では当初シリアでの停戦を前提に今後の和平の進め方が話し合われる予定でしたが、停戦が危機に直面しアメリカとロシアが再び非難の応酬を繰り広げる事態となり、シリア情勢は混迷を深めています。

米ロ国防省も無人機めぐり応酬

シリア北部で、人道支援物資を積んだ国連などの車両が攻撃されたことをめぐって、ロシア国防省の報道官は21日、地元のメディアに対し、ロシアの関与を改めて否定したうえで、レーダーなどを解析した結果、アメリカが主導する有志連合の無人機が近くの上空を飛行していたことを特定したと主張しました。そのうえで「無人機は、支援物資を積んだ車両が燃え上がる数分前に現場近くの上空に到達し、およそ30分後に現場から離れた。どのような任務だったのか、無人機の所有者はわかっている」と述べました。

これに対してアメリカ国防総省のデービス報道部長は、「支援物資を輸送する車両が攻撃された際、周辺にアメリカ軍と有志連合の軍の航空機は一切いなかったと確認している」として、ロシア側の主張を強く否定しました。