日韓共同世論調査 互いの印象が改善に向かう

日本と韓国の民間団体による共同世論調査で、相手国の印象について「良い」と答えた人の割合は、慰安婦問題を巡る日韓両政府の合意などを背景に、去年より5ポイント余り高くなり、互いの印象が改善に向かっていることを示しています。
この世論調査は、日韓両国の民間団体が3年前から毎年共同で行っているもので、ことしは、先月中旬から今月上旬にかけて双方で、およそ1000人ずつから回答を得ました。
それによりますと、相手国の印象について、「良い」または「どちらかといえば良い」と答えた人の割合は、日本側で去年より5.3ポイント高い29.1%、韓国側で去年より5.6ポイント高い21.3%となりました。
一方、相手国の印象が「良くない」または「どちらかといえば良くない」と答えた人の割合は、日本側で去年より7.8ポイント低い44.6%、韓国側で去年より11.5ポイント低い61%となっています。
この背景には、去年12月、慰安婦問題を巡る日韓両政府の合意によって関係の冷え込みが和らいだことなどがあるものとみられ、日韓間で互いの印象が改善に向かっていることを示しています。
ただ、相手国に対してよくない印象の理由を複数回答で尋ねたところ、日本側が、「歴史問題などで日本を批判し続けるから」で75.3%、韓国側は、「韓国を侵略した歴史について正しく反省していないから」で76.3%と、それぞれ最も多くなり、歴史認識を巡る問題が日韓間の大きな課題として横たわっている現実が改めて浮き彫りとなりました。
今回の調査結果について、日本側の「言論NPO」の工藤泰志代表は「日韓両政府による関係改善への取り組みが報道されたことで、行き過ぎた国民感情に歯止めをかけたのではないか」と話しています。
また、韓国側の「東アジア研究院」のイ・スクチョン(李淑鍾)院長は「韓国国民は、慰安婦問題について、政府が言っているように不可逆的に解決されたとは思っていないが、これ以上、歴史問題が関係改善の障害になってはいけないと判断したのではないか」と話しています。