株式会社三橋貴明事務所
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『規制緩和を考える(前編)①』三橋貴明 AJER2013.6.11(3)
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6月13日(木) 蒲田法人会「アベノミクスで激変!どうなる日本経済!」
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_42.html#Kamata
6月30日(日) 益茂証券主催「アベノミクスと日本経済の行方」(会場:福井県福井市)
※好評につき満席となりました。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_42.html#Masmo
もしくはhttp://www.masumotto.com/contribution?id=cnt47113
7月11日(木) 第11回烏山講演会「世界経済とマスコミの嘘」
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_42.html#karasuyama
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本日は蒲田法人会「アベノミクスで激変!どうなる日本経済!」(詳しくは上を)の、上念塾のイベントと、連続で声を出すお仕事です。喉を傷めないように頑張ります。
とりあえず、東京に戻らなければ・・・。今はまだむつ市におります。そういえば、昨日は懇親会で「大間のマグロ」を頂戴いたしました。時期的に冷凍ものらしいですが、それでも美味しかったです。むつの皆様、お世話になりました!
さて、先日来、安倍政権の「三本目の矢」である成長戦略について取り上げてきましたが、具体的な政策についてはあまり突っ込みませんでした。何しろ、中身がまだ詳しく分かりませんので。
とはいえ、本件についてだけはエントリーを一日分割いて取り上げたいと思っていたわけでございます。すなわち、医薬品のインターネット販売の原則解禁です。
医薬品のインターネット販売の原則解禁とは、まさしく典型的な規制緩和になります。
『自民でアベノミクスに批判 薬のネット販売反対「いつから三木谷のポチになったか」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130607/plc13060721080014-n1.htm
自民党は7日、政府がまとめた成長戦略や経済財政運営の指針「骨太の方針」の素案に関する党内論議を行った。最近の円高・株安傾向を反映してか、政権の経済政策「アベノミクス」への批判や、財政出動を求める声が相次いだ。
成長戦略の目玉である一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売の原則解禁には安全性の観点から反対意見が続出。橋本岳衆院議員は「衆院選の総合政策集で一般薬の安易な解禁は行わないと記述したのを覆すのか。自民党はいつから(産業競争力会議メンバーの)三木谷浩史楽天会長のポチになったのか」と痛烈に批判した。
来年4月からの消費税率引き上げを念頭に、骨太の方針に「財政措置を講じる」と明記するよう求める声や、「成長戦略が発表になって株価が下落した。積極的な財政出動を行うべきだ」といった意見も出た。』
医薬品のインターネット販売解禁は、もちろん安全性の面からも問題があるのでしょうが、本日、わたくしが取り上げるのは「経済面」と「レント・シーキング面」でございます。
【インフレギャップとデフレギャップ】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_42.html#DGAP
現在の日本の医薬品の小売サービスが、「需要」に対し「供給能力」が不足し、インフレギャップ状態になっていたならば、「医薬品のインターネット販売の原則解禁」という規制緩和はソリューション(解決策)になり得ます。インターネット経由の小売サービスが市場に新規参入することで、競争が激化し、供給能力が高まり、インフレギャップが埋まります。(物価が抑制されます)
とはいえ、現在の医薬品小売サービスは、別にインフレギャップを抱えていたりはしません。むしろ、ドラッグストアの新規出店(というか出店ラッシュ)が相次ぎ、小売サービス市場は供給過剰状態になっています。すなわち、デフレギャップが存在しているのです。
デフレギャップが存在している分野で、規制緩和を実施し、競争激化をもたらし、一体何をやりたいのか。運輸産業、建設産業、タクシー産業同様に、倒産、失業の増加と、従業員の所得低下をもたらすだけではないでしょうか。
などと書くと、
「地方の僻地では薬局が無く、ネット解禁になると助かる」
「お年寄りで外出するのが億劫な人は、ネット解禁で喜ぶ」
などと、例により針小棒大というか、木を見せ、森を見せないようなレトリックを使ってくるのでしょう。とはいえ、わたくしは「国家全体」の話をしているわけであり、ミクロな例外ケースについて話しているわけではありません。
僻地の薬局がない地域に住む方を便利にするため、国家全体で医薬品小売サービス市場の「不要な競争激化」を実施し、失業者や倒産店舗を増やすというのは、おかしな話です。
公共事業悪玉論を流行らせようとした連中が、
「鹿しか通らない道路を造っている」
と、些末な事例をあたかも「全体の話」であるかのごとく思わせようとしたのと、全く同じ構図というわけです。
さて、経済面から見ても「医薬品のインターネット販売解禁」は間違っていると思いますが、今回は露骨なレント・シーキングになっているわけですから、最悪です。誰が「レント(過剰利潤)」を持っていくかと言えば、もちろん楽天です。楽天の三木谷会長が、産業競争力会議に「民間議員」として入り込み、何の権利もないにも関わらず、自社のビジネスのために「医薬品のインターネット販売解禁」を実現しようとしているわけです。
くどいですが、三木谷氏は「民間議員」であり、有権者の票を背負った国会議員ではありません。自民党の橋本議員が、
「自民党はいつから(産業競争力会議メンバーの)三木谷浩史楽天会長のポチになったのか」
と怒るのは当たり前であり、野党側もこの件では厳しく安倍政権を追求するべきです。
『薬ネット販売:三木谷氏「解禁ないなら政府の議員辞任」
http://mainichi.jp/select/news/20130607k0000m020039000c.html
政府の産業競争力会議で民間議員を務める楽天の三木谷浩史会長兼社長が、一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売解禁を巡る議論が進まないことから、一時、議員を辞任する意向を漏らしていたことが分かった。成長戦略第3弾の目玉を探していた安倍晋三首相が5日、「全面解禁」を表明したため、結果的に同会議の内紛は回避された。
政府関係者によると、全面解禁を主張する三木谷氏は最近、「実現しないなら辞める」と同会議や厚生労働省への不満を周囲に伝え、世耕弘成官房副長官らが「辞めたら経済人としての名がすたる」などと説得していた。
全面解禁の方向になったのを受け、三木谷氏は「英断に感謝します」と首相にメール。首相も「また一緒に仕事をしましょう」と返信したという。首相周辺は「これで三木谷氏が辞めることはない」と胸をなで下ろしている。』
自社のビジネスに有利にならないとなれば、政府の民間議員を「辞める!」と脅す三木谷氏も異常ですが、「これで三木谷氏が辞めることはない」などと胸をなでおろす「首相周辺」の政治家も同じく異常です。何ゆえに「経世済民」を目的とした経済政策が、一民間議員の進退ごときで決定されなければならないんですか。しつこいですが、民間議員とは要するに一般人で、選挙の洗礼を受けたわけでもなく、落選という形で責任を取らせることもできません。
産業競争力会議や規制改革会議の「民間議員」たちが、結局、何を目的にしているのか。国家の繁栄でも、国民の所得拡大でもなく、「自社の利益」であることを、三木谷氏は日本国民に明瞭に教えてくれたわけです。
皆様、是非ともご地元の政治家さんに、本件に関する「意見」を伝えて差し上げて下さい。できれば橋本議員同様に、
「自民党はいつから三木谷会長のポチになったのか!」
という論調で。
「自民党はいつから三木谷会長のポチになったのか!」と思われた方は、
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経済通のおじさんと、女子高生真理ちゃんが織り成す、経済を解りやすく掘り下げた基礎講座
◇日本経済復活の会
積極財政による日本経済復活を目指して活動をしているボランティアグループです。
Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
連載中
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