【三橋貴明】三木谷会長のポチですか


From 三橋貴明

【今週のNewsピックアップ】

●自民党はいつから三木谷会長のポチになったのか!
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11551166431.html

●企業の目的と政府の目的を混同する人たち
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11551901999.html

●常識の壁
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11552711011.html

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●●今月の月刊三橋では、電力自由化やメガソーラービジネスに絡んだ、
「構造改革ビジネス」の大問題を取り上げました。

http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980_2013_06/index.php

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スティグリッツ教授が「TPPと規制緩和を問い直す」というタイトルで、長いコラムを書いていました。

http://shinsho.shueisha.co.jp/kotoba/1306tachimi/04.html

スティグリッツ教授の言いたいことが、サブ・タイトルそのものになっています。

◆TPPは特定集団のために「管理」された貿易協定だ

◆九九パーセントの国民の生活を犠牲にするTPP

◆貿易協定と国内の法規制との対立

◆ウォールストリートの言いなりになるな!

◆規制緩和が世界金融危機を引き起こした

◆イノベーションの方向転換が必要だ

要するに、TPPとは特定企業(特にアメリカの企業)のレント・シーキングを実現するための大々的な「仕掛け」であるという話ですが、
例えば「貿易協定」という国際法と、国内の法規が対立してしまう(国際法は国内法の上に立つ)。
金融の規制緩和がブレトンウッズ体制を破壊し、現在の混乱の源となった。
イノベーションと言えば聞こえはいいが「失業者を増やすイノベーション」はやめておきなさい。などなど、本メルマガの連載陣の皆様方が訴え続けてきたこと、そのままの内容になっています。
もちろん、スティグリッツ教授は元々上記の類のことを言い続けており、それが日本で報じられなかっただけの話なのですが。

ちょっと面白いと思ったのは、スティグリッツ教授がブレトンウッズ体制について、

「しかしながら、ブレトン・ウッズ体制では、各国の生産性にばらつきが出てきたときに、対応できなくなってしまったのです。」

と語っている部分です。これは何を言っているのかと言えば、もちろんニクソンショック前に、日本と西ドイツ(当時)の生産性が高まった結果、アメリカの対日貿易赤字拡大、対独貿易赤字拡大が止められなくなった問題のことでしょう。最近でいえば、ユーロという共通通貨圏内で、為替レートが変動しないために、生産性が高いドイツが、生産性が低い南欧諸国に対し一方的な輸出攻勢をかけている「アレ」でございます。

低生産性国の貿易赤字が膨らみ、何が問題なのでしょうか。貿易赤字の国は、普通は経常収支も赤字です(最近の日本はあくまで例外)。経常収支の赤字は対外純負債の増加です。しかも、経常収支赤字国は過小貯蓄国でもあるため、国債発行を外国に依存せざるをえなくなり、財政問題の拡大をも引き起こしてしまいます。

ブレトンウッズ体制は、「資本移動の自由」を制限することで、「固定相場制」と「独立した金融政策」の二つを実現していました。結果的に、生産性の違いに端を発するアメリカの貿易赤字、財政赤字問題が膨れ上がっていったわけです。

というわけで、資本移動の自由を認め、固定相場制を放棄した(これがニクソンショック)のですが、今度は金融サービスが暴走を始め、現在に連なる危機の火種が巻かれていきました。

ユーロ圏は独立した金融政策を放棄し、固定相場制と資本移動の自由を実現していますが、結果的にどうなったかはご存じの通り。

「固定相場制」「資本移動の自由」「独立した金融政策」の内、同時に二つまでしか実現できない「国際金融のトリレンマ」は、本当に難しい問題でございます。

さて、日本で「規制緩和は善!」「TPPは自由貿易!」などと、スローガンベースで叫んでいる人たちは、上記の問題を理解しているでしょうか。恐らく「考えたこともない」というのが、正解ではないでしょうか。世の中は、あるいは「経済」は、スローガンベース、フレーズベースで正しい解決策を講じることが可能なほど、甘いものではないというお話。

PS
起業家の言う通りに規制緩和&構造改革していたら、
何が起こるのか。

電力業界を舞台に進むレント・シーキング、
「強制所得回収制度」をあなたは許せるか。

http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980_2013_06/index.php

【三橋貴明】三木谷会長のポチですか” への4件のコメント

  1. TPP交渉参加、
    おかしな連中しかいない産業競争力会議、
    予算の付け替えという名の「機動的な財政出動」、
    緊縮財政からでてきた地方分権・道州制、
    電力自由化、水道民営化、
    ゆうちょ銀行の資産である日本国債に手を付けようとしているネタ、

    保守の分断を避けようと思い、参院選こえればこれらを覆せると思って静かにしてるのに、

    ワタミはでてくるわ、今度は三木谷。

    新自由主義者を、
    外からいろいろ言われると厄介だから、
    中に取り込んでコントロールしてるのだろうとこっちが勝手に思っていたら、

    取り込まれていたのはこっちだったでござる。

    価値観外交ってよう、
    戦後レジームの脱却と言っている人が言う言葉か?

    アメリカと日本は価値観同じか?
    自由と民主主義こそ戦後レジームだろうがよ。

    あっ、自由民主党だった。

    応援してるんだからしっかりしてください。

    • 維新の会からカジノ法案が出されようとしている。

      まちがっても民営カジノとか、
      場所を選ばないようなことにならないことを祈る。
      カジノっていうのは、辺境の地で一般庶民とは隔絶された場所にあるべきだ。

      今回の記事とは関係ないので、すみません。

      • 伊藤元重が死亡消費税なるものを出してきましたね。
        あ~ぁ。

        今回の参院選で自民党が大勝した場合、3年は安定政権になる。安倍さんがやっぱり新自由主義者だった場合、ごりごり新自由主義的政策が通って日本のアメリカナイズがますます進んで大変危険である。

        このリスクを下げる方法はないのでしょうか?

        自民党の公約を守ることができないので、TPP交渉から撤退します、とでも言ってくれなければ、かなり自民党に投票したくないんですけど。
        衆院選のときの投票は清々しかったけど、
        次の参院選での投票は嫌々だろうな。

  2. レントシーキングは大変重要なテーマだと思います。
    ところで、三橋さんはITとデフレの関係はどう捉えているのですか?
    新自由主義者の理論に対して三橋さんがおっしゃっていたように、IT化によって生まれた失業者が、すぐに次の職を見つけられるとは思わないのですが。自分のホームは分析しにくいですかね。

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