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【政治】

ホルムズ掃海を事実上撤回 首相「極めて例外」と明記

 安倍晋三首相は十六日、安全保障関連法案に関する次世代、元気、改革の野党三党との合意文書で、中東・ホルムズ海峡での機雷掃海を念頭に、日本が攻撃を受ける可能性のない経済危機を理由に武力行使する事態を「極めて例外」と明記した。国会審議でもすでに「想定していない」と述べ、こだわってきたホルムズ海峡で戦時の機雷掃海を行う必要性を事実上撤回した。 (新開浩)

 首相は他国の領域で集団的自衛権を行使する例外として、ホルムズ海峡での戦時の機雷掃海を挙げてきた。公明党が法案の策定段階から否定的だったが、首相は「必要最小限度の武力行使にとどまる」と押し切ってきた経緯もある。

 だがイランと欧米など六カ国の核問題合意に加え、強引な採決に世論の反発が強まり、「できるだけ多くの政党の支持」(首相)を得るために方針転換を余儀なくされた。違憲立法との世論の批判に追い込まれ、一部野党から支持を得た形を作りたかったからだ。

 合意文書は野党三党が求めた安保法案に賛成する条件と位置付けられた。三党からは「首相の性格からは考えられないくらい折れた。それだけ強行採決と言われるのを気にしている」との声も漏れた。

 合意文書には、経済危機を理由に武力行使する場合は、例外なく国会に事前承認を求めることも盛り込んだ。条文は修正せず、政府は法案の成立後に合意内容を尊重することを閣議決定するとした。だが閣議決定は時の政府の判断で上書きしたり、取り消したりすることが可能だ。国会の議決で成立する法律に比べ「歯止め」の効力は限られる。

 

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