元理研有名研究者が「小保方晴子を窃盗で刑事告発する!」
2015.01.23
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「若山さんからES細胞を盗んだのは彼女しかいない。証拠も揃っている」
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「このまま放置したら、日本の科学界に未来はない」と断言する石川氏
Photo:會田 園
「小保方晴子さんがSTAP細胞の捏造に使ったES細胞は、彼女が若山照彦さんの研究室から盗み出したものだと確信しています。私は彼女をES細胞の窃盗容疑で刑事告発します。さもないと日本の科学への信頼は地に落ちたままです」
 こう断言するのは日本最高峰の研究機関、理化学研究所(理研)の横浜研究所OBの石川智久(としひさ)氏(60)だ。石川氏は昨年3月まで理研の創薬・医療技術基盤研究プログラムのテーマリーダーを務め、米国テキサス大時代には当時名古屋大学教授だった野依良治・理研理事長と共同研究もしていた有名な科学者。理研の内部情報には精通している。
 前代未聞のスキャンダルとなったSTAP細胞捏造疑惑は、その張本人である小保方晴子・元ユニットリーダー(31)が昨年12月21日に依願退職したことで、理研が検証を打ち切った。
 調査委員会は最終報告で、小保方氏の論文捏造を認定し、STAP細胞由来とされた細胞の正体が既存の万能細胞(ES細胞)が混入したものだったと結論づけた。だが、肝心の「誰が」「何のために」ES細胞を混入したのかは不明とされ、疑惑の核心部分は謎のままだ。
 この幕引きに強い不信感を持った石川氏は、昨年末から、捏造の舞台となった理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)の複数の関係者から独自に証言や資料を集めた。その結果、小保方氏をこの1月中にも刑事告発するという決意を固めるに至ったのである。
「調査を進めていくと、小保方さんが何をしたのかハッキリ認識できました。
 昨年3月頃から、小保方さんは自分の実験室にあった細胞サンプルをコソコソと廃棄し始めた。その行動を、『不正の証拠を隠滅しようとしているのではないか』と危惧したCDB研究者の有志たちは、調査委員会とは別に、独自の調査を始めた。彼らは小保方さんが細胞サンプルを自由に処分できないように、実験室のカギをつけ替えることまでしたそうです。彼らの調査の過程で撮影されたのが下の写真。小保方さんがES細胞を盗んだと強く推認させるものです」
 下の写真は小保方氏の研究室にあった実験用冷凍庫(フリーザー)を、本人立ち会いのもとで検査した際、撮影したなかの一枚だという。フリーザーの中には、研究用の細胞サンプルが入ったチューブを収める2つの箱「BOX‐1」と「BOX‐2」があった。
「BOX‐1の側面には『ntES BOX Li』と書かれており、入っていた78本のチューブの中身は、すべてES細胞でした。ラベルに印字された日付から、’11年7月8日と30日に作られた試料であることがわかります。そしてもうひとつのBOX‐2には『Obokata RNA』と書かれていた。これはチューブの種類もラベルも統一されてキレイに整頓されているBOX‐1とは違い、76本のいろんなチューブが乱雑に詰め込まれていました。そのうちいくつかのチューブには、『STAP幹細胞』と書かれてありましたが、中身を調べてみると、ES細胞など他の細胞が入っていたんです」
 これらの写真を見て愕然としたのは、若山照彦・山梨大教授の研究室メンバーだ。’11年4月から’13年2月まで、小保方氏は、当時CDBにあった若山研究室に客員研究員として参加していた。写真に写っていたBOX‐1は、STAP細胞の実証実験を行っていた若山研究室から忽然と姿を消していたものだったのだ。
「写真に写っていたのは、紛失したままの状態のBOX‐1だったそうです。なぜ、小保方さんのフリーザーにあったのか。ある理研関係者は、『あのとき、若山研究室はCDBから山梨大に引っ越すためバタバタしていた。そこにスキを見た小保方が、’13年の1〜4月頃に盗んだとしか考えられない』と語っている。
 BOX‐1に収納されたES細胞は、若山研究室の中国人留学生、李さんが作って凍結しておいたものです。李さんは’12年にいったん中国に帰国していて、また日本に戻ってきて山梨大で研究を続ける予定でしたが、ES細胞を紛失したことで、それを断念したそうです」
 小保方氏はSTAP細胞の実証である「キメラマウス」を若山氏に作らせるため、自作の自称「STAP細胞」を何度も若山氏に手渡していた。
「そのSTAP細胞とやらが、実は既存のES細胞だったことはすでに結論が出ています。小保方さんは、若山氏から盗んだES細胞を若山氏に渡して、何も知らない彼にキメラマウスを作らせていたのでしょう。そもそも、小保方さんの研究室に、中身がすべてES細胞のBOX‐1があるのがおかしい。STAP研究にES細胞は必要ないのですから」
 若山研究室から消え、小保方研究室のフリーザーで発見されたものはBOX‐1だけではない。BOX‐2に収められていたチューブのなかにも、若山研究室由来のES細胞が紛れ込んでいたというのだ。そのラベルにはSTAP幹細胞を示す「FTS」の文字が書かれており、筆跡は小保方氏のものだったという。
「小保方さんは、若山研究室から盗んだES細胞の一部をBOX‐2に入れ、自分が作ったSTAP幹細胞であるかのように偽装していたのでしょう。理研の調査委員会に対して小保方さんは、『自分のフリーザーから見つかったものはBOX‐1もBOX‐2も含め、すべて自分のものだ』と認め、書面に署名もしていますが、すべての状況証拠が、彼女がES細胞を盗んだと示しているんです」
 ES細胞の「紛失」があった当時、STAP細胞プロジェクトは発案者の小保方氏や故・笹井芳樹氏など、ごく限られた者しか存在を知らなかった。ES細胞を「盗む」動機がある人物は、小保方氏しか考えられないのだと石川氏は言う。
 疑惑の幕引き、火消しに躍起の理研には自浄作用が期待できない。ならば、巨額の血税を費やして大ウソの研究を行ってきた小保方氏を告発するには、捜査機関に訴えるしかない。そう決意した石川氏はまもなく、CDB所在地を管轄する兵庫県警に告発状を提出する。
取材・文 津田哲也(ジャーナリスト)
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自身による再現実験も失敗に終わり、捏造が決定的になった小保方氏。昨年末に理研を依願退職した
Photo:朝井 豊
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小保方氏が持っていたBOX-2。STAP幹細胞と書かれたチューブもあった
HOT WORD: 小保方晴子
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