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2014.07.27

 防衛省:工事の入札、予備自衛官の雇用で優遇  

カテゴリ自衛隊政策出典 毎日新聞 7月26日 電子版 
記事の概要
防衛省は、同省発注工事の入札で、予備自衛官を雇用している企業が有利になる仕組みを導入する。

定員割れが続く予備自衛官を増やすことが狙い。

価格や技術などを点数化する「総合評価方式」の入札で、予備自衛官や即応予備自衛官を現場に配置する企業の点数を上乗せする。

予定価格が6億円未満の入札で今年度中の実施を目指す方針で、加点の幅などを検討している。

予備自衛官は普段は別の仕事をしながら、有事の際に駐屯地の警備など後方任務を担当する。

即応予備自衛官は一線の部隊に加わることが任務。

いずれも3年任期で元自衛官から採用される。

昨年3月末現在、予備自衛官は定員4万7900人に対し3万2556人、即応予備自衛官は約8000人に対し5387人。

いずれも定員の7割に満たないため、昨年12月に閣議決定された中期防衛力整備計画に、増員に向けた施策の実施を盛り込んでいた。

防衛省施設整備課は「実施したうえで問題を指摘されたり、苦情が寄せられたりした場合は改善を検討したい」としている。
コメント
現在、建設業や土木の仕事で労働力不足が深刻になっている。だから防衛省や自衛隊の発注する工事で、予備自衛官を採用している企業を優先的に契約するという訳である。

世に中の景気が悪く、全体に労働力が余っている時代は、「この忙しい時に、1週間も休んで(土日を含む)、自衛隊に訓練に行くような者はいらない。仕事をやりたい人は何人もいる」という言葉ほど、予備自衛官制度を苦しめる言葉はない。

しかし今は、震災の復興工事、オリンピック工事の需要などで、労働不足が深刻である。自衛隊としては、いつでも使える手ではないが、今はこの手しか効果的な方法はない。

自衛隊なら、土木や建設ばかりか、電気や機械修理などの職種もある。意外とこの制度に人気が出ると思われる。(警備や運転もある)

この制度を利用して、あらたな人材派遣会社を起業する者も出てくるのではないか。

現在の予備自衛官、即応予備自衛官ともに、充足率が定員の7割に達していなかったとは知らなかった。もう少し高いかと思っていた。




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