気味の悪い写真を、韓国の朝鮮日報が掲載したので紹介したい。「慰安婦」と称する人たちに、日本の新聞記者が板敷きの床に座り、頭を下げ、許しを請うているかのような写真だ。
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韓国の朝鮮日報の記事「慰安婦:「ナヌムの家」で頭を下げた日本の記者たち」(日本語版)に書かれている。韓国版では露骨に写真で日本記者の醜い姿が示されていた。

善意で行ったら、利用された?

どうも日本記者クラブか何かが行った「プレスツアー」のようだ。外国ではこうやって合同取材をすることがよくある。「ナヌムの家」とは、慰安婦問題を騒ぐ韓国の過激派団体が運営する施設で、「慰安婦と称する老女」が暮らす。

記事では、そこを日本人記者らがたずねたらしい。ところが相手のプロパガンダに利用されている。現在、これをネタに日本政府と日本人が、韓国政府と民間団体に「ゆすられている」と言っていい状況だ。日韓の諸条約で終わった話なのに、賠償と謝罪を韓国政府は日本に求めている。そして「慰安婦と称する女性」の一人は(おそらくこのナヌムの家の住人)、なぜか米国サンフランシスコ市の連邦地裁に日本の今上天皇や安倍首相を相手に26億円の賠償と謝罪を求める訴訟をした。(産経記事

記者は、可能な限り生の情報に接して取材するべきだ。しかし、わざわざ悪意を持つ人々の術策にはまるようなことをするべきではない。情報は流す人によって意味が込められる。相手のプロパガンダや利益を得るための情報戦に使われることもある。

以下は筆者の推測だが、おそらくナヌムの家の関係者か、韓国のメディアが「慰安婦がいすに座り、日本人が板敷きに座り、土下座するように見える写真を撮影する」という、小さな謀略を仕組んだのであろう。日本人記者らは善意でここをたずねたが、先方にはその善意は届かずただ利用することを狙ったのだろう。

筆者の推測が仮に事実なら、日本人記者は「まぬけ」すぎる。韓国の慰安婦団体の異様さを考えれば、そして情報のプロである記者なら相手の腹黒さを警戒すべきだった。相手に利用されるならば「報道しない」「会わない」という矜恃も、持つべきだ。

しかし、もしかするとこの「土下座謝罪」を心からしたいと思っている日本人記者もいるのかもしれないが。ちなみに、「慰安婦狩り」をしたと嘘をついた吉田某という男を何度も賛美して取り上げた北海道新聞は、それを今でも謝罪していない。朝日新聞などは誤報を取り消したものの慰安婦をめぐる大キャンペーンを行って、小さな問題を複雑骨折させてしまった。

メディアの質にうんざり

「慰安婦と称する老女」は「70年前に日本帝国の朝鮮領の住人で売春婦だった朝鮮人女性」にすぎない。その境遇は気の毒だ。しかし、それをめぐる問題が政治化し、しかも日本政府と日本人を過剰に攻撃する材料に韓国政府と一部韓国人・日本人がしている。それを考えれば、慎重な取り扱いが必要だ。頭を下げた新聞記者らの、能力面でも、日本人としての常識面でも、その質に疑問を持ってしまう。国益を守るという発想がないのだろうか。

慰安婦問題をここまでこじらせたきっかけは、朝日新聞をはじめとするメディアの誤報と、おかしな同情に満ちた報道であった。その真摯な反省もなく、プロパガンダに荷担したり、相手に利用されたりする日本メディアの質の低さに悲しくなる。私たち「普通の日本人」は、慰安婦問題についてメディアが国益を損なわないか監視し、誤った報道に批判を続けなければならない。

そして韓国には、かかわらない方がいい。あらゆることがめんどうくさくなる。

このままでは、私たちの父祖、私たち自身、そしてその子孫が、韓国人と一部の日本人によって「強姦魔」の汚名を着せられ続けてしまう。

もう、この慰安婦問題にも、かかわる人の質の低さや異様さにも、うんざりなのだが。

石井孝明
ジャーナリスト
メール:ishii.takaaki1@gmail.com
ツイッター:@ishiitakaaki

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