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【関西の議論】ミナミの「超一等地」で地上げ バブル以来〝最大〟の取引にトラブル勃発 橋下市長もクギ刺す

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【関西の議論】
ミナミの「超一等地」で地上げ バブル以来〝最大〟の取引にトラブル勃発 橋下市長もクギ刺す

更地になったまま再開発計画が止まっている旧大阪市立精華小学校跡地。隣接地で地上げが繰り広げられた=大阪市中央区(本社ヘリから)

 ここから、跡地南側に隣接する南海通商店街の一部店舗を対象に地上げ話が浮上した。不動産売買会社K社が25年8~10月、2店舗の各所有者から土地(計72平方メートル)と建物を計約26億円で買い取る契約を締結した。K社は26年9月、これらを別の不動産会社J社へ計約32億円で転売する契約を結び、J社は手付金5千万円をK社へ支払った。

 いずれの契約でも、隣接地を精華小跡地と一体的に利用することが条件として明記された。隣接地と跡地を1つの土地として開発すれば容積率が緩和されるため、より高い建物を建設できるメリットがある。このため、J社はS社へ隣接地をさらに高値で再転売できる見込みだった。

 実際にS社は入札時の提案で、「隣接する商店街の一部の土地を買い取ることで、さらなる高層化を検討する」とうたっていた。K社とJ社の行動は典型的な「地上げ」だった。

跡地開発の頓挫で…

 ところがS社は、K社が地上げする隣接地を高く買わされることを警戒。道路に面した別の隣接地をK社を介さずに26年8月末に取得した。このためS社は、K社とJ社が関与する土地を買い取る必要がなくなった。

 さらにS社は跡地の共同開発を持ちかけた中堅スーパー(大阪市)との間で昨秋から資金トラブルとなり、再開発計画はいったん頓挫した。

 これらの結果、S社へ隣接地を再転売する当てが外れることになったJ社は今年2月、「跡地と隣接地の一体開発の合意という前提が成就していないため、売買契約は無効」としてK社に支払い済みの手付金の返還を要求した。

 これに対しK社は返還を拒否。逆に「J社が決済期日を守らなかった」ことを理由に違約金の支払いを求めて大阪地裁に提訴した。

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