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【中高生のための国民の憲法講座】
第91講 祖国を守る者は誰なのか、13条の意味 高乗正臣先生
また、ロシアの憲法(1993年)は、「祖国の防衛は、ロシア連邦市民の責任であり、義務である」。「ロシア連邦の市民は、連邦法律にしたがって兵役に服する」と定め、「ロシア連邦の市民は、その信条または信仰が兵役に服することと矛盾する場合、または連邦法律の定めるその他の場合に、それを市民的職務で代替するよう求める権利を有する」(第59条)と定めています。
◆それぞれの立場で
一方、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、オランダ、ベルギーなどでは徴兵制を廃止しましたが、国民の祖国防衛の義務については、しっかりと憲法で明記しています。例えば、イタリア憲法は「祖国の防衛は、市民の神聖な義務である」(第52条)と定め、「すべての市民は共和国に忠誠をつくし、その憲法および法律を遵守(じゅんしゅ)する義務を負う」(第54条)と規定しています。ドイツ基本法は「男子に対しては、満18歳から軍隊、連邦国境警備隊または民間防衛団における役務に従事する義務を課すことができる」(第12a条)と定めています。
わが国の場合はどう考えればよいのでしょう。今日の自衛隊は高度な専門集団であり、徴兵制度には合理性はないと思われます。しかし、国民はそれぞれの立場で祖国を守ることを意識し、協力することは当然の責務ではないでしょうか。