渋谷区議会議員『子どもにツケをまわさない!』笹本由紀子です。

転んだら、何かつかんで立ち上がる元・証券会社OL+音楽家+ラジオDJで、幼児教育研究者。渋谷区議会議員です。

4年間で、条例に対する笹本の一番最後の討論原稿になります。

2015-04-18 00:31:18 | 日記
平成27年3月31日。多くの注目を集めた条例に対する「反対」討論です。

議案第3号 渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例について
反対の立場で討論を行います。

私達は、様々な、心を持った人々と共に生きています。
今回の条例は、いくつかの問題をかかえたまま、本日、条例案の決定という日を迎えてしまいました。私は、議論が尽くされたとは、思っておりません。それは、あまりに、自分勝手だからです。

渋谷区には、幾つもの女性団体が、男女共同参画を求めて研究を重ね、事例への対応を進めてこられました。女性の選挙権を獲得しようとして婦選運動が、渋谷区代々木の地で今もなお、50年以上の時を重ね進められてきました。
しかし、いまだ、男女の共同参画すら、この渋谷区は、達成できていないのです。
この条例案が審議された渋谷区議会・総務区民委員会には、女性の議員はおりません。
私の左側は、渋谷区における管理職の皆様ですが、女性はお二人しかおられません。
この条例では、同性によるパートナーシップが注目されておりますが、現在の婚姻制度にも、法律による婚姻と、事実婚の間にすら、まだ、大きな壁が存在しています。女性団体の検討による指摘の通り、「やることは、まだ、あまりにも多い」のです。

今回の条例にある、「多様性」という言葉そのものの定義があいまいです。

残念ながら、傷ついた人は、自分よりも、もっと弱いものを傷つけることで、自分の存在価値を保とうとする面があります。それが、差別の連鎖です。今、私達が、考えるべきは、「差別の連鎖」を止めることです。
しかし、今回の条例案は、その器ではなく、その理念さえも打ち出してもいません。
附属機関の構成員の報酬の話には熱心で、男女平等の部分は、区内の女性団体が自分たちで講師を呼んで勉強を重ねて作り上げたものを、取り入れたものです。正確に申し上げるならば横取りしたものです。

検討会のメンバーと参考人には議員の関係者を入れ、参考人にはさらに別の議員も加わり進めていたことは、出し渋った検討会の議事録要旨で発覚しました。
答申を作るはずだった検討会が、なぜか最後になって、公表が求められる答申ではなく「報告書」にすりかえられた。
1月20日、海老原委員長は、最後の仕事として、桑原区長に「報告書」を手渡した時、彼女はきちんとおっしゃったはずです。「女性の貧困や非正規労働の問題を先ず実行、有効性が大事。そのような社会してほしい」と。
文字通り命を懸けた委員長の言葉が、この条例案には、ない。
条例案を、「ギリギリまで発表せず、十分な審議を尽くさず決めてきた」これまでの桑原区長の区政運営と同じように、非常に乱暴な扱いです。
自腹での勉強会を重ねて作られた区民条例案は、男女共同参画や男女平等について、これまで他の自治体に誇れることなど無かった渋谷区が恥ずかしくなるほどの素晴らしいものであり、私の目から見て、完璧といえる条例案でした。
それでも、彼女たちは、先ずは区民案を元に、アンケートを取ったり、パブリックコメント制度を用いて、広く意見を聞き区民の意見が醸成された後で、十分な検討を得た上で、それから、渋谷区に条例化して欲しいと願っておられました。

桑原区長の進め方のように、発表してたった1か月で施行して欲しいなどとは、何年もの労力をかけた彼女達すら、望んでおられませんでした。
なぜなら、彼女達は、ご存じだったからです。誰かが、強権で条例を作っても、「差別は無くならない」と。必要なのは、押しつけではなく、人々の、「深い理解」だと。

なぜ、この条例案が、たった1か月と急いで、男女共同参画を進める分野では、23区中で一番遅れているといわれていた渋谷区なのに、作ろうとするのか?
桑原区長がご自分の引退前に、区長選挙に間に合わせようとしたからではありませんか?

根本的疑問を積み残したまま、ずれた積み木のままで高さを重ねれば、傷つく人が現れます。人々の心にかかわる、デリケートな問題だからこそ、静かに、そして、時間を重ねて、最初から作り直そうではありませんか。
私達が、未来につなぐ条例は、これまでの「性差の桎梏(しっこく)」を解き放ち、真に、人権を尊重する社会を望むものです。残念ながら、本条例案ではないと申し上げ、反対の討論といたします。
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