自民党:BPOに政府関与検討 「放送局から独立を」

毎日新聞 2015年04月17日 21時40分(最終更新 04月18日 08時30分)

自民党情報通信戦略調査会による意見聴取を前に川崎二郎会長のあいさつを聞きながらメモをとるNHKの堂元副会長(左手前)とテレビ朝日の福田専務(同2人目)=東京都千代田区の自民党本部で2015年4月17日、宮間俊樹撮影
自民党情報通信戦略調査会による意見聴取を前に川崎二郎会長のあいさつを聞きながらメモをとるNHKの堂元副会長(左手前)とテレビ朝日の福田専務(同2人目)=東京都千代田区の自民党本部で2015年4月17日、宮間俊樹撮影

 自民党は17日、NHKとテレビ朝日の報道番組で「やらせ」や政治的圧力があったとされる問題に関連し、NHKと日本民間放送連盟でつくる「放送倫理・番組向上機構」(BPO)について、政府が関与する仕組みの創設を含めて組織のあり方を検討する方針を固めた。しかし、番組の内容などの問題点を検証するBPOに政府が関わることには識者らの間で批判も出ている。

 同党の川崎二郎情報通信戦略調査会長が17日、同調査会後に記者団に語った。

 川崎氏は、法律で担保された第三者機関が放送内容をチェックする欧州の仕組みを例に挙げ、「テレビ局がお金を出し合う機関できちんとチェックできないなら、独立した機関の方がいい。BPOがお手盛りと言われるなら、少し変えなければならないのかなという思いはある」と述べた。BPOを法律で規定することには党内にも慎重意見があるが、同党幹部は「政府側の人間や官僚OBを入れるなど別の方法もある」と述べ、政府がBPOに一定程度、関与できる仕組み作りは可能との認識を示した。同党は海外の例も参考にしながら検討する構えだ。

 しかし、鈴木秀美慶応大教授(メディア法)は「欧米では放送事業者を監督する機関は、政府からの独立が担保されているのが主流だ。放送事業が総務相の免許制の日本では、その代わりに放送局の自主規制が重視されている。BPOはそうした考えに沿って設置された」と指摘。BPOを法制化することに対しては「言論機関を閣僚が監督するという根本的な問題を放置したまま、報道の自由への配慮を欠いた仕組みを作ることになってしまう」と批判した。

 同調査会は17日の会合で、NHKの堂元光副会長とテレビ朝日の福田俊男専務らから聴取した。この日は事実関係の確認にとどめ、内容に踏み込んだ質疑はしなかったが、来週以降、小委員会で放送法やBPOの立場などを含めて議論する。

 テレビ朝日の「報道ステーション」では、コメンテーターだった元経済産業官僚の古賀茂明氏が3月27日の生放送中、自身の降板を巡り官邸から圧力があったと発言した。テレビ朝日側は聴取で、古賀氏はゲストであって正式な契約はしておらず、降板ではないと説明した。しかし、同調査会はこの問題についてBPOへの申し立ても検討する方針。川崎氏は「(番組で批判された菅義偉)官房長官の立場で本当におやりになるか。私だったらやる」と述べた。

最新写真特集