記事詳細
【中高生のための国民の憲法講座】
第86講 「夫婦別姓」認めなければ違憲? 別姓制にはさまざまな問題
憲法24条は、婚姻や家族に関して、法律は「個人の尊厳と両性の本質的平等」に立脚して制定されなければならないとしています(2項)。
◆最高裁が初判断?
そこで事実婚の夫婦らが国に対して慰謝料を求める裁判を起こしました。民法750条が「夫婦同姓制」を定めているのは「個人の尊厳」を保障した憲法に違反しており、夫婦別姓のための立法措置を怠ったことは許されないというわけです。
しかし、1審の東京地裁は憲法は別姓の権利を保障していないと原告の主張を退け、2審の東京高裁も憲法違反の主張を認めませんでした。そのため原告が最高裁に上告していましたが、今回、これが小法廷から大法廷に回付されました。
最高裁は、初めて憲法判断をする場合や判例の変更を行う場合それに違憲判決を下す場合は、大法廷でしなければなりませんが、今回、審理が大法廷に回された理由は、もちろん分かりません。
民法750条は「夫婦同姓」を定めていますが、「夫又は妻の氏を称する」と述べ、機会の平等を保障しています。ですから学説の多数も違憲説は取っていません。また1、2審判決も家族の一体感の確保を目的とした夫婦同姓制には正当性があるとしています。