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【長尾一紘先生の中高生のための国民の憲法講座】第82講 象徴天皇制について考える

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【長尾一紘先生の中高生のための国民の憲法講座】
第82講 象徴天皇制について考える

日本国憲法の第1条について考えてみましょう

 第2の立場の論者は、つぎのようにいいます。

 「君主制原理と民主制原理は、むしろ調和する関係にある。このことは、イギリスなど、西欧の君主国をみればわかることだ。天皇は元首である」

 ◆「君主国」か「共和国」か

 第1の立場には問題があります。国際社会においては、大統領制の下では大統領が「元首」とみなされます。君主制の下では君主が「元首」とみなされます。天皇こそが「元首」であるとみるべきです。

 そこで第1の立場は、「天皇は君主ではない、日本国は共和国だ」と主張します。これも国際的な常識を無視した主張です。国際社会において、日本国は、イギリスなどとならんで、君主国の典型とされています。

 このような問題があるにもかかわらず、第1の立場の論者が、日本を「共和国」とみなしているのは、フランス革命のプロセスを普遍的なものとみているからではないかと思われます。

 フランスにおいては、王制が廃止され、共和国が形成されました。第1の立場の論者は、これを重視して、共和制の実現こそが民主化の証しであると考えているのです。

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