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【中高生のための国民の憲法講座 第81講】公民教科書の憲法像は正しいか 長尾一紘先生

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【中高生のための国民の憲法講座 第81講】
公民教科書の憲法像は正しいか 長尾一紘先生

憲法の基本原則について考えてみましょう

 そこで、第3の立場が登場します。その論者は、つぎのように主張します。

 「日本国憲法は、君主制、国民主権、人権の尊重、権力分立、平和主義-の5つを基本原則とする」

 以上において、日本国憲法の基本原則についての3つの立場が紹介されました。第1の立場はシンプルさを長所としますが、第3の立場は正確さを長所とします。第2の立場はその中間です。

 それにしても憲法の基本原則についての日本の学説は、あまりに多様で雑然としています。基本原則の確認が日本という国の自画像を描くことだとするならば、戦後において、日本人は自国の自画像を描くことが困難になっているのではないかと思われます。

                   ◇

【プロフィル】長尾一紘

 ながお・かずひろ 中央大学法学部卒。東京大学大学院修士課程。中央大学教授を経て、現在、名誉教授。著書に『日本国憲法・第4版』『基本権解釈と利益衡量の法理』など。近著として『外国人の選挙権 ドイツの経験・日本の課題』。72歳。

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