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 過激派組織「イスラム国」に拘束されているフリージャーナリスト後藤健二さん(47)について、安倍晋三首相は27日の衆院本会議での代表質問に答え、「昨年11月に行方不明事案の発生を把握した直後に、官邸に(情報)連絡室、外務省に対策室を立ち上げ、ヨルダンに現地対策本部を立ち上げた」と述べた。「イスラム国」が後藤さんの拘束をインターネット上で告知する約2カ月前から、政府が対応に動いていたことが明らかになった。

 政府は昨年8月16、17日に、「イスラム国」による会社経営者湯川遥菜(はるな)さん(42)の拘束事件のために情報連絡室などを設置した。菅義偉官房長官は27日の会見で、後藤さんの事件について、いずれも昨年11月1日付で、湯川さんの事件で設けた情報連絡室の対象に追加するなどしたと説明。後藤さんの行方不明を把握しながら水面下で対応していたことについて「事案の性質上、非公表とした」と説明した。

 政府高官は27日、後藤さんを11月の時点で政府対応の対象とした理由について「(後藤さんが)音信不通で行方不明と判断した」と語った。ただ、その際には後藤さんが拘束されたとの情報は得られていなかったという。

 首相は答弁で、昨年8月に拘束された湯川さんと、その後に現地入りしたとみられる後藤さんの消息を確認するため、「あらゆるルートを通じて情報収集や協力要請を行ってきた」と経緯を説明。「極めて厳しい状況だが、後藤さんの早期解放に向けて全力を尽くす」と語った。