痛風の発症に関わる新たな遺伝子領域を発見

 本学医学部医化学講座の山本健教授と防衛医科大学校、国立遺伝学研究所等の研究グループは、ヒトゲノム全体を調べるゲノムワイド関連解析(GWAS)を行い、日本人痛風の発症に関わる5つの遺伝子領域(ABCG2、SLC2A9、MYL2-CUX2、GCKR、CNIH-2)を発見しました。  
 痛風は生活習慣病の一つであり、高血圧、脳卒中などのリスクとなることが知られています。近年の遺伝子研究により、痛風の発症には遺伝的要因が関与していると考えられていましたが、その全容はまだ明らかとなっていません。
 今回の研究は、自己申告の痛風症例は対象とせず、医師により確実に診断された痛風症例のみを対象とした世界で初めてのGWASです。このため、痛風の病型ごとの違いを見るような詳細な解析が可能であり、病型ごとに異なる遺伝子領域が関連していることも発見しました。
 本研究の成果は、近年増えつつある痛風患者の遺伝的リスクを評価する有用な手段となり得ます。この発見により、痛風の高リスク群を早期に見つけ出し、さらにどの病型になりやすいかを予測でき、個人差に応じた治療薬の選択につながることが期待されます。

 本研究は、松尾洋孝(防衛医科大学校講師)、山本健、中岡博史(国立遺伝学研究所特任研究員)、中山昌喜(防衛医科大学校医官)、崎山真幸(同)らが論文発表し、2月2日に英国の医学専門雑誌「Annals of the Rheumatic Diseases」のオンライン版に掲載されました。


日本人男性の痛風患者におけるゲノムワイド関連解析(GWAS)のシグナル分布




2015/2/3