「生徒名簿を使った布教活動」は悪いことか?

 

幸福の科学信者で、神奈川県内の公立中学校元校長が、宗教活動の一環として、在職時の教え子に書籍『忍耐の法』(大川隆法著)や幸福の科学大学(仮称・設置認可申請中)の開学予定を知らせる手紙を送った。

 

しかし、それを受け取った一部卒業生の保護者が、地元の教育委員会にクレームを入れた。教育委員会は、元校長が在職時に取得した「職員・生徒名簿」が使われたことを問題視。10月に元校長を呼び出し厳重注意した。その内容を、一部の大手紙地域版や、インターネットニュースが報じた。

 

それらの報道は「私的流用」といった表現を使い、いかにも悪事を犯したかのような印象を読者に与えている。インターネットなどでも、この報道に対して「元校長がしたのは違法行為」などと批判する声が出ている。はたしてこのケースは、問題があるのだろうか。

 

まず、これは違法行為ではない。「個人情報保護法」に、宗教活動を目的として個人情報を使う場合は、同法の規定は適用されないと明記されている(第50条)。

 

その理由は、宗教活動が憲法に定められた「信教の自由」の一貫だからだ。「信教の自由」は、他の人権の元になるため、一般に考えられているよりも重要視されている「人権のなかの人権(注)」だ。近代憲法が例外なく掲げているのもそのためだ。

 

そもそも、個人情報保護法が想定しているのは、消費者が不利益を受ける悪徳商法などを防ぐこと。一方、元校長が行ったことは、宗教的信条に従って元教え子に個人的な贈り物と手紙を出しただけだ。今回の報道などでの扱いは、「宗教活動を、悪徳商法・営利目的の宣伝行為と同一視する風潮」を表しているのかもしれない。

 

しかし、宗教活動は公益性が高い。例えば、大川総裁の著書『常勝思考』『不動心』『成功の法』は、ケニア教育省が選ぶ高校副読本にも認定されるなど、海外でその公益性は広く認められている。元校長が手紙に同封した書籍『忍耐の法』も、「スランプの乗り切り方」「挫折に打ち克つ方法」など、学生や社会人の悩みに対する実践的な処方箋が書いてある。

 

また、幸福の科学では「人間はこの世に生まれて魂修行をしている。この世の行いや心の状態によって、死後、天国と地獄が分けられる」という、公教育では教えてくれない人生観を教えている。これを知らない人が多いために、善悪が判断できず、誤った生き方をして、死んだ後に迷ってしまう――。元校長はこうした問題意識に駆られ、純粋な動機で布教活動を行った。

 

こうした活動を、「悪徳商法」のように捉える風潮は問題だ。その背景には、実際に詐欺的な行いや、金儲け主義に走る新宗教も、一部あるだろう。しかし、だからといって条件反射的に、全ての新宗教を否定することにも合理性はない。感情的な偏見ではなく、人の幸福につながるか、という観点で宗教の良し悪しを判断するべきだ。(光)

 

(注)『憲法』(元最高裁判所判事、東京大学名誉教授・伊藤 正己著)

 

【関連書籍】

幸福の科学出版 『忍耐の法』 大川隆法著

http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1070

 

【関連記事】

2014年12月号記事 教育委員会とマスコミが宗教活動を悪徳商法扱い - The Liberty Opinion 3

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