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障害年金判定に地域差 12年度不支給率、佐賀は最高

2014年08月25日 10時03分

障害年金判定に地域差 12年度不支給率、佐賀は最高

 病気やけがで一定の障害がある人が受け取れる国の障害年金で、申請に対する支給・不支給の判定結果に都道府県間でばらつきがあり、不支給の割合に最大約6倍の差があることが24日分かった。共同通信の取材に対し、支給実務を担う日本年金機構がデータを初めて開示した。

 年金を受給する権利は本来、どこに住んでいても平等に保障されなければならないが、地域によっては4人に1人が申請を退けられている。受給できるはずの障害者が多数、対象外になっている可能性がある。

 審査に当たる医師(認定医)に個人差があり、精神、知的障害の程度で判断が分かれやすいことや、年金機構の出先機関ごとの取り扱いの不統一が原因とみられる。厚生労働省は長年、十分な調査をせず手を打ってこなかったが、障害者団体は是正を求めており、対応を迫られそうだ。

 ばらつきが判明したのは、多くの人が受け取る障害基礎年金。身体、精神、知的障害で細かく認定基準が分かれ、各都道府県に置かれた年金機構事務センターの委託を受け、1件ごとに認定医が1人で審査している。

 開示された2010~12年度の都道府県別データに基づき、審査件数全体に占める不支給判定(却下を含む)の割合を算出した結果、3年間の平均で大分が最も高く24・4%。最低の栃木の4・0%と6・1倍の開きがあった。

 2番目に高かったのは茨城(23・2%)で、佐賀(22・9%)、兵庫(22・4%)が続いた。

 12年度の不支給率(平均13・7%)は佐賀が25・3%で最も高かった。

 不支給の理由は、ほとんどが「障害の重さが基準に達していない」と判定されたためだった。都道府県ごとの傾向は各年度ほぼ同じだが、埼玉、千葉、愛媛などでは12年度の不支給割合が10年度に比べ約2倍に上昇。全国平均でも10年度の10・9%が12年度には13・7%に上がっており、審査が年々厳しくなっている傾向がうかがえる。

 「年金の『出し渋り』が増えている」「判定に差がある」との指摘は社会保険労務士や障害者団体から出ていたが、厚労省と年金機構はこれまで毎年度の障害基礎年金の不支給件数を集計していなかった。

 ■障害年金 公的年金の加入制度に応じて障害基礎年金と障害厚生年金、障害共済年金があり、受給には障害の程度や保険料納付期間など要件を満たす必要がある。市区町村役場や年金事務所に申請する。障害基礎年金は20歳以上の人が対象で、65歳以降に負った障害では支給されない。未成年の時から障害がある人は20歳から受け取れる。等級は最重度の1級から3級に分かれ、障害厚生年金は3級でも受けられるが、障害基礎年金は1、2級でないと受けられない。支給額は障害基礎年金の1級で月8万500円、2級で月6万4400円。受給者は2013年3月現在、障害年金全体で約190万人。

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