2014.7.8
, EurekAlert より:
個別化医療のために個人ごとのゲノム解析は、従来考えられていたように単純な仕事とはいえないようだ。加齢によって自発的な突然変異が増加し、個人差が極めて大きくなるようだ、という米国バージニア工科大学からの研究報告。
個別化医療とは、個人ごとの遺伝子に基づいて将来起こりうる疾病リスクを予想し最適な医療を施すという考え方だが、加齢による変異が増えると、ゲノム解析の頻度を増やさなければならなくなる。
「がん化によって突然変異が増加することは知られていたが、本研究は、正常な組織においても定常的に突然変異が蓄積していくことを示唆している」と主任研究者のハロルド・ガーナー教授は語っている。「医療に必要になるゲノム情報はきわめて莫大な量になるだろう。従来考えていたほど単純ではない。」
細胞のDNAは、種々の環境ストレッサーによって変異する。13,000にも及ぶこれらの変異は、糖尿病、腎臓病、がん、リューマチ、アルツハイマー病などのリスクを高める。
この研究は、個人が各々の環境因子にいかに耐性をもつか、人によって加齢の速度に違いがみられるのはなぜかを理解するのに役立つものだという。
「我々は、我々の遺伝子のある部分は、他の部分に比べて加齢速度が100倍速いことを確認した」とガーナー教授は語っている。「以前はジャンクDNAと考えられていたマイクロサテライトは、多くの疾患に関連していることがわかっている。それらはより早い速度で変異するので、加齢による遺伝子のダイナミックな変異を解明する上で重要である。」
研究チームは、最新のゲノム解析技術を用いて、3個人の異なる年代(9-16年差)の検体を解析した。そのうちの1人では他の2人に比べて変異速度がほぼ10倍あり、それに伴って多くの潜在的疾患リスクも高まっていたという。
「我々は遺伝子変異の速度は個人によってかなり異なり、また1人の遺伝しないでも部位によって異なることを発見した」と筆頭研究者のジャスミン・ババルバは語っている。「ゲノムのダイナミクスを理解することが個別化医療が比較的進化をとげるためのキーステップとなるだろう。」
出典は『加齢』。 (論文要旨)
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