ライフ【きょうの人】台北・故宮博物院長 馮明珠(ふう・めいしゅ)さん(63) 「日本の熱意、ずっと届けられてきた」2014.6.27 23:48

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【きょうの人】
台北・故宮博物院長 馮明珠(ふう・めいしゅ)さん(63) 「日本の熱意、ずっと届けられてきた」

2014.6.27 23:48
馮明珠(ふうめいじゅ)院長=台北・故宮博物院(奈須稔撮影)

馮明珠(ふうめいじゅ)院長=台北・故宮博物院(奈須稔撮影)

 「北宋・汝窯(じょよう)の陶磁器の釉薬の色は、雨上がりの青空といわれます。この展覧会は本当に、容易には実現できなかった。雨後に晴れ上がった空のように、大成功するよう祈っています」

 24日に東京国立博物館(東博、東京都台東区)で開幕した台北・故宮博物院展。前日の開会式で安堵(あんど)の言葉を口にした。

 悠久の中国文明を物語る故宮の至宝。中でも清代玉器「翠(すい)玉(ぎょく)白(はく)菜(さい)」を初めて海外に出す決断をした背景には、日本人が示し続けてきた「誠意」があったと明かす。「海外美術品を守る法の整備など、日本の多くの方の努力があった。30年以上前からずっと、その熱意は台湾のわれわれに届けられてきました」

 とはいえ「翠玉白菜」の東博への出品、「肉(にく)形(がた)石(いし)」の展示を願う九州国立博物館(九博、福岡県太宰府市)のリクエストを一度は却下。連日長蛇の列ができる台北故宮の“2大スター”だけに、観光産業への影響を危惧する声もあった。

 が、東博と九博はあきらめない。故宮南分院(台湾南部に来年末開館)で予定されている日本美術展に、68件もの国宝・重要文化財の出品を逆提示したのだ。「感動しました。これは素晴らしい展示交流になると」。“白菜不在”を逆手に取ることにした。「私たちは約70万件もの文物を所蔵している。この機を利用し、スター候補を週替わりで推し出しています」

 柔和な表情、毅然(きぜん)とした語り口。台北故宮では図書文献の専門畑を歩み、一昨年、院長に就任した。「展覧会を機に、日台間の文化交流がさらに深まることを期待しています」

(黒沢綾子)

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