ザック辞任 後任選びの前に日本サッカー協会がやるべきこと

日刊ゲンダイ

 大惨敗に終ったコロンビア戦から一夜明けた26日(現地25日)未明、ザッケローニ監督がキャンプ地のイトゥ市で「日本代表を離れなければならない。日本代表に足りないものを新監督が埋め合わせ、さらに強くしていく時期が来た」と正式に辞意を表明した。

 4年前の南アW杯のベスト16を上回る成績を期待されながら、ザッケローニは1勝もできずにブラジルを去ることになった。インテル、ミラン、マンUを筆頭に欧州組を多く揃えながら、どうして日本代表は失速したのか? 原因はどこにあるのか? 

■06年大会も10年大会も検証作業はうやむや

 イタリア人指揮官ザッケローニのW杯冒険旅行は、サポーターの期待を裏切る結果に終わった。「試合をクローズ(終わらせる)させる選手がいない」。こう嘆いたのは“ドーハの悲劇”オフト監督だった。トルシエ監督は「日本サッカーに守備の文化はない」と断言した。ザッケローニ監督は、日本に屈強なフィジカルを誇り、空中戦に圧倒的な強さを見せるDFがいないハンデを承知した上で「2点取られても3点取る」攻撃的なスタイルを志向した。

 日本人の特性であるアジリティ(俊敏性)と瞬間的なスピード、労を惜しまない献身性、最後まで走り回れるスタミナを武器にボールを出来るだけ保持し、奪われたらすぐに相手エリアで奪い返してショートカウンターを仕掛けていく−−。

 主将のMF長谷部は常々「自分たちのサッカーをする。それが勝利に近づく」と話していた。この「自分たちのサッカー」は、ザッケローニ監督と4年間を過ごした選手の誰もが口にした。アジア杯と東アジア杯で優勝し、W杯予選も突破した自信が裏付けとなった。

 しかし、W杯では通用しなかった。なぜザッケローニ監督は、最も大事なW杯で場当たり的采配に終始したのか。

 日本サッカー協会技術委員会による3試合の分析とザック・ジャパンの4年間の検証が重要になる。この分析・検証をしっかりやることが、ザッケローニ監督の正しい評価に繋がり、今後の日本サッカーの方向性を客観的に判断することが、次期監督選定に大いに役立つのは言うまでもない。

 今大会と同じ成績(1分け2敗)でグループリーグ敗退に終った06年ドイツW杯は、田嶋技術委員長(現副会長)が総括する以前に川淵会長(現最高顧問)が日本代表の帰国会見の席で次期監督にオシム氏の名前を出し、検証作業はうやむやのままで終ってしまった。

 4年前は岡田監督(当時)の守備的サッカーが批判を集めたが、ベスト16入りでシビアに検証されず、次期監督選びの責任者・原技術委員長(現在は専務理事を兼務)は攻撃サッカーへと転換を図り、ザッケローニ監督を迎え入れた。

 それでもW杯で結果を残せなかった。すでに次期代表監督として、日本人と同体格のメキシコ代表を率いたハビエル・アギーレ氏の名前が浮上している。

 まずは技術委員会がどのように今大会をきちんと総括し、次に進むべき方向性をどう示していくのか。今後の4年間の道筋を立て、次期代表監督を決める。難しくて困難な作業が待っている。

文・六川亨(元サッカーダイジェスト編集長)

※次回からは具体的な事例を挙げながら、大惨敗したザック・ジャパンを徹底検証していきます。

日刊ゲンダイ

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