太平洋戦争末期に「女子勤労挺身(ていしん)隊員」として朝鮮半島から徴用され、三菱重工業の名古屋の軍需工場で働かされた韓国人女性と遺族の計4人が、同社に1人あたり1・5億ウォン(約1430万円)~2億ウォンの損害賠償を求めて27日にも韓国の光州地裁に提訴する。支援者が25日明らかにした。

 同工場での朝鮮人徴用をめぐっては光州地裁が昨年11月の判決で、元徴用工らの個人請求権を認めた上で、慰謝料として1人あたり1・5億ウォンの支払いを命じ、同社が控訴した。この地裁判決後、元徴用工や遺族らからの問い合わせが支援関係者に相次いでいるが、新たな提訴は初めて。日本企業を相手にした提訴が増える可能性がある。

 元徴用工の請求権では2012年、韓国大法院(最高裁)が韓国での徴用先の日本企業に対する請求権を認めた。これを踏まえた昨年7月のソウル、釜山高裁の同様の判決に対して、日本企業2社が上告。大法院の判断が注目されている。(ソウル=中野晃)