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政治
【酒井充の政界××話】欺瞞とご都合主義に満ちた特定秘密保護法への批判
反対のジャーナリストは特定秘密保護法成立で「息苦しい時代になる」と懸念を示したという。私はそういう発言や新聞を読むたびに息苦しい思いをしている。こうしたメディアによると、法に反対しない記者はジャーナリストの資格がないらしい。そうか、記者失格なのか。自分たちの自由を求める割には、他人には実に厳しい人たちだ。
表現の自由は尊重されるべきであり、同法に懸念の声があるのも事実だ。それを報じる自由もあるが、常軌を逸していないだろうか。
特定秘密保護法が万全だとは思わない。情報は原則国民のものだし、恣意的な秘密指定の可能性だってある。外務省が現在定期的に公開している過去の「機密文書」の中には、外国の新聞報道をまとめたレポートさえ秘密指定になっているものもある。なんでもかんでも官僚が安易に秘密に指定する可能性がないとは言えない。
それにしても、同法に反対する新聞は、過去の報道姿勢との整合性がとれていない。
平成22年9月に尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で発生した中国漁船衝突事件を思い出してほしい。海上保安庁の船に衝突してきた領海侵犯の中国漁船の映像を動画投稿サイトに「流出」させた海上保安官が、国家公務員法違反容疑で書類送検された。結果は起訴猶予処分だったが、保安官は辞職した。
流出した映像の何が秘密なのかよく分からないが、当時の民主党・菅直人政権は映像を隠した。ちなみに安倍晋三首相は最近、国会で映像について「特定秘密ではない」と答弁した。
当時、朝日新聞は社説で「政府の情報管理は、たががはずれているのではないか」「日中外交や内政の行方を左右しかねない高度に政治的な案件である」とし、政府の安全保障に関する情報管理の甘さを指摘した。最近の論調に従えば、朝日新聞は「政府は公開して当然」というべきだったはずだが、当時は違った。確かに情報管理は甘かった。だから、特定秘密保護法できちんとしたルールが必要なのだろう。
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