ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
感想でめぐみんエロをと言うご要望があったので、四部突入記念に今回こそは期待に応えてみます。

毎度お馴染みエロ回です。
苦手な方はご遠慮下さい。
四部
1話
 その薄暗い空間に、めぐみんの切ない声が響いた。

「カズマ……! カズマぁ……っ! あなたの事が、大好きです! 愛しています!」

 荒い息を吐きながら、俺に必死でしがみ付いてくるめぐみん。
 そのめぐみんの下半身からは、時折湿った粘液の音……。

「お、俺も……! 俺も、好きだよめぐみん……っ!」
 同じく俺も、荒い息を吐きながらめぐみんへと言葉を返す。

 そして俺は、めぐみんに申し訳無さそうに。
「ダメだ……! めぐみん、俺はもう限界だ……! 俺、もう我慢できない……! もう出る……っ!」
「待ってくださいカズマ! お願い、お願いですカズマ! 一緒に……! はあ……はあ……、い、いくなら、私も一緒に……っ!」

 めぐみんが、俺を掴む手に力を込めた。

「……もう限界だって! 俺、もういくから! そ、外に……外に出させろ……っ!」
「待って! カズマ、このまま! このまま、中に……っ!」
 言いながら、めぐみんは俺の腰に回した手に精一杯の力を込め、ギュッと掴んで離さない!
 俺は……
 俺は……っ!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 俺の屋敷の広間において。

「諸君。人類と言うのは会話が成り立つ種族である。我輩と話をしよう」

 両腕を強力な呪縛のロープで縛られ、床に正座させられているバニルが言った。
 バニルの両脇には、あと数センチも近付けばくっ付いてしまうぐらいの超至近距離で、それぞれアクアとウィズがしゃがみ込み、眉間にしわを寄せながらバニルの横顔をジッと見ていた。
 そして、バニルの前には俺が立ち、俺の隣には難しい顔をしたダクネスとめぐみんの姿があった。

 領主が突然行方不明になり、隠していた証拠の数々が次々湧き出し、その悪行の数々が明るみに出た。
 ダクネスの家の借金や、俺が失った金の諸々も、ダクネスの親父さんの回復に合わせ、全て領主の被害にあった人々に返ってくる事になったのだが。

 ダクネスの親父さんが悪魔に呪いを掛けられていたと言う事が判明し……。
 今回の黒幕はバニル説が浮上し、俺の屋敷にて現在尋問中である。
 なぜそんな疑いが掛けられているのかと言うと……。

「今回の騒動で、一番得するのってあんたなのよねー。カズマからは色んな商品を安く買い取れて良かったわねー。あんた、聞いたわよ。カズマから手に入れた知的財産権を転売して、すんごい利益出したそうじゃない。ねー、あんた、もっと簡単な解決方法も知ってたんでしょ。本当の事言ってみなさいな?」

 威嚇でもするかの様に両手の間に白い光を纏わり付かせ、バニルにそれをチラチラと見せるアクアが言った。
 それに続き……。

「バニルさん、私に内緒で何とんでもない事してくれたんですか? カズマさんから財産権買い叩いて売り払った? 信じられない……! ああっ、もうどうしよう! 金庫にあったあの大金が、まさかカズマさんから不当に手に入れたお金だったなんて……! 返そうにも、もうお金が……っ!」

 ウィズが、顔を覆いながら、申し訳無さそうに俺に謝る。
 ウチのバニルさんがごめんなさい、ごめんなさいと謝る姿に、何だかこちらこそ申し訳ない気になるが……。

「おい落ち着くのだ、ヤクザ女神に穀潰し店主よ。まあ、他にも解決方法があるにはあっ……た……。が……? いや待て。おい天災店主、今なんと言った? 金庫に入れておいたあの金はどうした。おいそれと使いきれる額ではないぞ」

 ピタリとバニルの動きが止まった。

「あれですか! 褒めて下さいバニルさん! 以前、デストロイヤー戦で得たお金で最高純度のマナタイト結晶を仕入れたんですが、その時仕入れた商人さんが、わざわざウチのお店まで新たに大量のマナタイト結晶を売り込みに来てくれまして! 安かったので、金庫のお金で買えるだけ買いましたよ! 本当に良い買い物をしました! あれは間違いなく! 私が見た所、あの溢れ出る魔力からして、あれは間違いなく最高純度ですよ!」
 …………。
 呆然とするバニルが、ちょっとだけ気の毒になってきた。

 そのバニルに、
「まあ、俺はお前がそこまで色々仕組んでたとは思ってないんだが。一応聞いときたいんだが、アクアの話だとダクネスの親父さんは悪魔に呪いを掛けられてたって事らしいんだが。……この街には、悪魔なんてお前しかいないよな」
 と、俺が何となく聞くと。

「フハハハハ、我輩が人の命を奪いかねない呪いなど掛ける筈があるまいて! あの呪いを掛けたのは、たまにおかしな言動をする、頭がぶっ壊れている事で評判の、公爵級の力を持つ大悪魔である」
「まさしくお前の事じゃないか」

 アクアとウィズが、その言葉にバニルの両肩をガッと掴み、今回の件で父に呪いを掛けられたダクネスが無言で前に出た。

「おい待て貴様ら。この紳士的な我輩が、おかしな言動をする壊れた悪魔に該当すると申すか。うむ、話をしよう! 確かに今回の件は、回りくどい事をしたのは認めよう。我輩も、あの領主が目の前で花嫁を奪われる悪感情を食したいが為に、こんな展開にしてみたのは認める。だが聞いて欲しい。特に先ほどから我輩を睨みつけている、今回の件でそこの男を僅かに意識してしまい、屋敷でのスカートの丈が三センチ短くなったむす」
「わあああああああ父の敵ー!」
「こっ、こらっ! 仮面を! 仮面を折ろうとするなっ! 貴様の父親はまだ死んではおらんではないか!」

 ウィズとアクアに取り押さえられているバニルの仮面を、突如叫んで襲い掛かったダクネスがギリギリとへし折ろうとしている。

 そんな光景を眺めていた俺の服の裾を、めぐみんがクイクイと引っ張った。
「カズマ、なんか大体解決したみたいですし。私は今の内に街の外に、一日一爆裂に行こうと思います、今日は昼から雨が降りそうな天気ですし。早いうちに済ませてきます」
「あ、なら俺も一緒に行くよ。こっちはもうこいつらに任せておこう」

 俺はそう言うと、一応の装備を付けて、後の事は広間でバニルを弄り回している三人に任せ、めぐみんと共に出かけていった。






 街から出てしばらく歩き、草や木のあまり生えない、岩肌の多い山沿いへと向かう。
 最近のめぐみんの嗜好は、硬くて大きい物への爆裂らしい。
 カズマの所為で、もう何も無い所に爆裂魔法を撃つだけでは我慢できない身体になってしまいましたとか言われたが、知った事か。
 道中にモンスターでもいれば、経験値稼ぎがてらにぶっ飛ばして貰おうと思っていたが、こんな時に限って現れない。

 まあ、街の周りの危険なモンスターは軒並み狩られているから仕方が無い。
 そうこうする間に、めぐみんが山すそに適当な大岩を見つけた様だ。

 街から数時間掛けて歩いてきたが、もっとこう、ちょちょっと街から出た辺りで何とかして貰えないものだろうか。
 実に長い散歩だ。

 めぐみんが魔法の詠唱を始め、その声が風に流れる。
 やがて魔法が完成し……!

「『エクスプロージョン』ッ!」

 めぐみんが叫ぶと同時、杖の先から放たれた閃光が岩に刺さり、そのまま大爆発を起こし、その瓦礫や破片を空高くに振り撒いた。
 パラパラと破片が降り注ぐ中。

「うむ、八十五点」
「くっ……。やりますねカズマ、段々爆裂魔法を見る目が出てきたじゃないですか。確かに今日の爆裂はそんな点数の出来です。威力が弱かった所為か、ちょっと破片も大きめで……、ああっ!?」
 ……?
 突然驚くめぐみんに、俺はどうしたと尋ねようと……、
 した所で、頭に強い衝撃を感じ。
 そのまま意識を……………………


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 …………。
 薄暗い。
 目を開けて、一番最初に感じたのはそんな印象。
 遠くから雷鳴が聞こえ、それと共に強い雨の音も聞こえてくる。
 薄ら寒く、背中が痛い。
 いや、それよりも頭が痛い。
 俺はどうやら、固い地面に寝かされていた様だった。
 ……そして、腹の部分になにか温かい物を感じる。
 俺は身を起こそうとしながら腹の方に視線をやると……

 俺の腹の上に、しがみ付くように投げ出すように両腕を置いて、うつ伏せの姿勢になっているめぐみんと目が合った。

 ………………。

 しばらく無言で見つめ合い、やがて沈黙に耐え切れなくなった俺は。
「……何してんの?」
 めぐみんに、静かに尋ねた。
 めぐみんは俺の腹の上に顎を置いた状態で、まるで枕にでもするかの様にうつ伏せに寝そべっている。
「……気を失ったカズマが心配だったので、こうして心音を聞いていました」
 言いながら、めぐみんがにこっと笑った。

 俺はこんなに素直そうなめぐみんの笑顔を見た事が無かった。
 そして、俺は自分が今どこに居るのかを理解する。
 そこは薄暗い洞窟の中。

 洞窟の外からは雨の音。
 時折聞こえる雷の音からすると、見る間でもなく外は大雨なのだろう。

 なるほど、大体把握した。
 めぐみんの爆裂魔法で打ち上げられた岩の破片。
 それが俺の頭に直撃し、気を失った所に雨が降ってきたのだろう。
 それで、めぐみんが俺の身体をどうにかこの洞窟に運んだのだ。
 場所が山すそだった為に洞窟があってもおかしくはないが、良くこんな場所が見つかった物だ。

 痛む頭を押さえると、そこにはこぶが出来ていた。
 更には血が固まったかさぶたの様な物がある事から、結構な重さの破片が降ったのだろう。

 ……まあ、それはいい。
 これは事故だし、こんな事だってたまにはある。
 そんな事より。

「めぐみん。……今の俺達の状況を教えて貰えるか?」
 俺の言葉にめぐみんは、
「爆裂魔法で破壊した岩の破片が当たり、カズマが気を失った上に、しばらくすると雨が降ってきまして。それで、近場にあったこの洞窟に運びました。この山すそにはよく爆裂に来るので、ここに洞窟がある事を知ってましたから」
 そう言いながら、ニコッと笑った。

 うん、やはりか。
 想像通りだ。

「そうか、じゃあ、もう一つ。俺が目を覚ましたら、何でめぐみんの頭が俺の腹に乗っかってたんだ?」
「さっきも言いましたが、カズマの心音が聞きたかったのと、雨が降ってきて寒かったし、寄り添った方が温かいかなと思いまして……。カズマが気を失っている間に、体を冷やして、体調を崩しては大変だと思い……」
 言って、再びめぐみんがニコッと笑った。

 ………………。

「じゃあ、もう俺は大丈夫だから帰ろうか。手を離してもらっていいからな? ……後、他になにも言う事はないなら俺はこれで……」

 立ち上がろうとした俺の腰に、めぐみんがうつ伏せで寝たまますかさず手を回す。

「……正直に言いますと、気を失ったカズマが起きるまで暇だったので、寝て待ってました。洞窟は固くて痛いので、カズマのお腹を枕にしてました」
 めぐみんが、素直にそんな事を言ってきた。
 よしよし、偉いぞ。

「じゃあ……。お前の下半身に張り付いているそれは何なのか、どうしてそうなっているのか説明して貰ってもいいか?」

 俺は言いながら、うつ伏せになっためぐみんの、下半身を覆っているゼリー状の巨大な物をあごで指す。

「……こいつは魔改造型グリーンスライム。昔、とある魔法使いがその生涯を捧げて開発した、グリーンスライムの亜種ですね。人体には危害は加えず、繊維製品のみを好んで消化する女の敵の代名詞みたいなモンスターです。カズマのお腹を枕に、寝て起きたらこんな状況になってました。洞窟の奥にこいつが潜んでいた様ですね」

 なるほど、人体には害は無いのか。
 見れば確かに、めぐみんの下半身を覆った、ヘタをすれば牛ぐらいの大きさはあるそれは、めぐみんのローブやマントのみをジワジワと侵食していた。

「人体に害が無いなら良かったな。じゃあ、ちょっと手を離してくれ。このままだとめぐみんの体の服の部分を伝って、俺の着ている衣類にまで侵食してくる」
 そう言って離れようとする俺の腰を、めぐみんが掴んで離さない。
「何言ってるんですか? このまま放っておかれたら、もれなく私、すっぽんぽんですよ? こいつを倒すなり私を引っ張るなりしてください」
 くっ……!
 こいつ、こんな時だけ意外な力を……っ!

「めぐみんよく聞け。俺はあんなスライム系の敵への攻撃手段は持っていない。フリーズでも掛けるか? いや、動いている粘液が相手だ、表面に霜が出来るぐらいだろう。ティンダーで炙ってみるか? いや、こんなデカイのが俺の着火魔法ぐらいでどうにかなるとも思えない。スライムに状態異常なんて効かないだろう。なら、ここで俺まで真っ裸にされるよりも、俺だけでも洞窟の外に出た方が良いに決まってる」

 諭すようなその俺の言葉に、
「ちょっと何言ってるんですか? 帰る際、私にカズマの服を貸してくれるんですか? それなら今の内に、お互い服をどう分けて、どういった状態で街に帰るのかを話し合いましょうよ。このままでは私は全裸です。となると、カズマの服を二人で分けるって事になります」

 めぐみんは口調は冷静ながらもギリギリと歯を食い縛り、絶対に離すかとばかりに力を込めて言ってきた。

「いや、ちょっと待って欲しい、ここは俺が服を着たまま一人で街に帰って、着替えを持ってまたここに来るってのは」
「すっぽんぽんの女の子をこんな所に放置する気ですか? 誰かに会ったら大変な事になりますよ? それなら、私がカズマの服着て着替えを取りに……!」







 それから五分後。
「カズマ……! カズマぁ……っ! あなたの事が、大好きです! 愛しています! だから……、だから、見捨てないでくださいっ!」
「お、俺も……! 俺も、好きだよめぐみん……っ! だから……、だから離せ……っ!」

 めぐみんは、いよいよ腰の辺りまでスライムに侵食され、俺はちょっとスライムさん、良く見えないんでそこどいてくれませんかね、と頼みたくなるぐらいの惨状にはなっていた。

「ダメだ……! めぐみん、俺はもう限界だ……! 俺、もう我慢できない……! もうこっから出る……っ!」

「待ってくださいカズマ! お願い、お願いですカズマ! 一緒に……! はあ……はあ……、い、行くなら、私も一緒に……っ! さもなくば、ここで道連れですよっ!」

 荒い息を吐きながら、俺に必死でしがみ付いてくるめぐみん。
 そのめぐみんが、俺を掴む手に力を込めた。

「……もう限界だって! 俺、もう行くから! そ、外に……外に出させろっ!」
「待って! カズマ、このまま! このまま中にいてください……っ!」
 言いながら、めぐみんは俺の腰に回した手に精一杯の力を込め、ギュッと掴んで離さない。
 俺は、後ろから腰に手を回して離さないめぐみんの顔面を、ガッと後ろ手にわし掴んで力を込め、下半身をスライムに覆われているめぐみんを何とか自分から引き剥がそうとした。

 そうしてめぐみんと揉み合いながら、俺はハタと気が付いた。
 そうだ、そうだよ、このスライムが繊維のみを食べるのなら……!

「めぐみん! 俺のダガーを貸してやる! それで、まだ侵食されてない部分の布を切れ! そうすりゃそれ以上は侵食してこないだろ!」

 俺の言葉にめぐみんが、パアッと表情を輝かせた。
 そして、ようやく俺の腰から手を離す。
 俺は立ち上がると、万が一俺まで侵食されてはかなわないので距離を取る。
 そしてそのままめぐみんに、ダガーを差し出し……!

「ほら、俺じゃめぐみんの服の中がどうなってるのか分からないし、危ないから自分で切れ! 自分なら、胸元とか色々、見えない所でも今どこの部分が布が余っているのか分かるだろ」
「一言多いですよカズマ! あ、ちょっと向こう向いててください」
 俺は渋々洞窟の入口の方を向く。
 すると、背後で布をビッ! と切り裂く音。
 それらの音がしばらく続き……。

「……カズマカズマ、こっち向いてもいいですよ。侵食されてた部分を切り取る事には成功しました。カズマの読み通り、侵食は収まったんですがね……」
 その言葉に振り返ると。
 そこには、へその辺りまでローブやマントを切り裂いためぐみんの姿があった。

 もちろん、スライムを下半身に生やしたまま。

「こいつ、侵食の動きを止めただけで、私を離してくれません。どうしたものでしょうか」
「よし分かった、待ってろ、今俺が全力で引っ張ってやる」
 この状態なら、もう巻き込まれる事もない。
 俺は気合を入れてめぐみんの両手を掴むと……!

「ちょ、待ってください! カズマ、待って! このままスライムから引っこ抜かれると、下半身があらわなままスポンと抜けます! 既に下着が手遅れな感じなんですが!」
「バカッ! そんな下らない事言ってる場合かっ!! このまま万が一スライムが、気まぐれで上半身の方にまで移動し始めたら、お前下手すりゃ窒息させられるぞ! よし、それじゃいくぞ!」

 俺は足を踏ん張り力を込めると……っ!
 めぐみんの腰に纏わり付いている巨大なスライム。
 その邪悪なスライムから、俺は大切な仲間を、めぐみんを助ける為に。
 全身全霊を捧げ引っ張った!

「ぬあああありゃああああああーっ!!」
「カズマ! 私今まで、カズマのそこまで必死な顔見た事もないのですが!」

 めぐみんが叫ぶ中、俺は多分今までの人生で一番の本気で頑張ってみたが、めぐみんを引き抜く事は出来なかった。
 だが俺は、ここで仲間を見捨て、諦める様な男ではない。
 大切な仲間を助ける為ならば、このぐらい……!

「くっそがあああ! 何時までもめぐみんの下半身隠してんじゃねえぞこらあああ!」
「カズマ、本音が! 本音が出てます! せめてそこは、何時までも私を捕まえてるんじゃねえぞとか言ってください! ……ああっ! そうです、カズマ、あなたの外套を! それを、スライムがそちらに侵食するよう体に触れさせた状態で、洞窟の奥に放ってください! それだけの大きさの外套なら、それを侵食する為に私の上から移動するはずです!」

 めぐみんが、こんな時にだけ紅魔族の知力の高さを発揮させた。
 俺は渋々自分の外套を外すと、洞窟の奥へとバサッと放り投げる。
 それは一部分だけをスライムの上に触れさせて、洞窟の奥へと広がった。
 スライムは、それに広がっていく様にめぐみんの上から移動する。

「ああっ? カ、カズマ、早く向こうを! 向こうを向いてください!」








 スライムが洞窟の奥で俺の外套をモゾモゾと貪る中、洞窟の入口を向いた俺の背後でめぐみんが、短くなった自分のマントをスカート代わりに腰に巻き付けていた。

「……ふう。これでひとまずは。もうこっち向いていいですよ。……なんだか、下半身の防御が薄いと心許ないですね」

 振り向くと、そこにはヘソ出しルックみたいな格好のめぐみんの姿。
 しょうがないから俺のズボン貸そうかと言ったのだが、全裸を免れためぐみんは、生き残ったマントを使うと言い出した。
 短いマントを腰の横で縛っている為、片側がスカートのスリットみたくなっている。

 ……俺が初めてめぐみんに色気を感じた瞬間である。

 まあしかし、確かに下着も無ければ心許ないか。
 流石にこればっかりは、俺の着用済み下着を貸す訳にもいかないし……。
 何か無いかと思っていたら、俺は自分のポケットを探ってある物を見つけ出した。

 俺はこの世界にジャージ一丁で来た訳だが、公園で子供達と遊ぶ事が多かった、良いお兄さんだった俺は、よく怪我をする彼らの為にポケットに入れていたある物を思い出す。
 回復魔法があるこの世界では、使う事もなかった為忘れていたのだが。

 俺はそれを、めぐみんにハイと差し出した。
「……? なんですか、それは?」
 俺がポケットから出したそれを見て、めぐみんが不思議そうな顔をする。
 俺はソレをペリペリと剥がして、手の甲にぺたりと張って使い方を示して見せて……。


「これはバンソーコって言うアイテムだ。今、下着を履いてないんだろ? 使えばいいよ」
「今とんでもない事口走りましたね! そのバンソーコとやらで私に何をしろと!?」
謝りません






冒頭で何を想像したんですか?
この作品はKENZEN作品ですよ。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。