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知る権利

2013年9月22日

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保護を最優先に議論を

 米国家安全保障局(NSA)は同国内を含む全世界でインターネットと電話回線を傍受し、情報を収集していた。ことし6月、海外の複数のメディアによる衝撃的なスクープで判明した。

 事実が明らかにならなければ、世界に冠たる大国による大規模な情報の収奪と監視は続けられていたであろう。その意味でも、このニュースが世に出た意味は極めて大きい。

 背景には、米中央情報局(CIA)とNSAの局員だったエドワード・スノーデン氏のリークがあった。米国は当然、「情報漏洩(ろうえい)罪」などでスノーデン氏を追った。

 だが権力を持たぬ民衆にとって、自らを脅かしかねない大国の罪が暴かれることと、国家機密が保たれることのどちらが重要であろうか。自明の理である。いま一度、この事例を思い起こしたい。

 政府が、機密を漏らした公務員らへの罰則強化を含む「特定秘密保護法案」の国会提出に向け、動きを活発化させている。「公務員をそそのかして秘密を得た者」の処罰も盛り込む。そのまま読むなら、報道機関をけん制しているようにも受け取れよう。

 この内容であれば「特定秘密」を取り扱う公務員らは、取材に萎縮せざるを得なくなる。つまり情報を出さなくなる。「国民の知る権利や取材・報道の自由が侵害される」との批判が出るのも当然であろう。

 気になるのは、恣意(しい)的な運用の防止策が見えないことである。

 漏洩した場合に国の安全保障に著しく支障を与える恐れがある情報を、行政機関の長が「特定秘密」に指定するとある。だが行政にとって都合が悪い情報を、理屈を付けて公開しない例が出てくるのではないか。そうならない保証はあるのか。

 例えば原発の安全性についての問題が「テロ防止のため」と特定秘密に指定されるとする。国民の安全に関わる情報が手の届かないものになるかもしれない。拡大解釈すれば、いくらでも行政が情報をコントロールすることが可能になる。

 菅義偉官房長官は「知る権利」と「報道の自由」の明記を表明した。しかし、観念的な言葉を連ねるのではなく、恣意的運用を許さない具体的な文言が必要であろう。

 連立与党の公明党は慎重姿勢を示す。国民の権利の保護を最優先に、拙速は厳に戒めるべきである。

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