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【秘密保護法案】危険な本質は変わらない |
2013年09月26日08時33分 |
外交や防衛などの分野で機密を漏らした公務員らへの罰則強化を盛り込んだ特定秘密保護法案に対し、日増しに反対する声が高まっている。
今月中旬以降だけでも日弁連や日本ペンクラブなどが、「国民の『知る権利』を侵す」などとする意見書を政府に提出した。
これに対し菅官房長官は、「知る権利」や「報道の自由」を尊重する規定を盛り込むことを「前向きに検討したい」と表明した。条文の文言は決まっていない。
だが条文がどんな書きぶりになろうとも、危険な本質は変わらない。この法案は「知る権利」などを侵害する根本的な問題をはらんでいる。「特定秘密」の範囲は明確でなく、指定する閣僚ら、行政機関の長の解釈次第だ。
さらに特定秘密に指定することが妥当かどうか、第三者が検証する仕組みもない。秘密の範囲を拡大解釈すれば、行政に都合の悪い情報は公にならない恐れがある。
こんな状態で特定秘密を公務員らが外部に漏らせば、最高で懲役10年が科せられる。報道機関の取材などに対し、公務員らが萎縮するのは目に見えている。
特定秘密を「取得」する側への規制も、報道の自由を侵害する可能性が高く、問題がある。法案の概要は、人をだますなど不正なやり方で特定秘密を取得した場合だけでなく、その未遂、共謀、教唆、扇動も処罰の対象としている。
明らかな不正行為はともかく、教唆や扇動は概念があいまいで幅広い。特定秘密を扱う人に取材したり働き掛けをしたりすること自体が違法とされかねず、容認できない。
報道機関だけの問題ではない。法律家や研究者、市民運動などの調査活動にも影響が及ぶ可能性がある。民主主義の基盤が脅かされるという指摘は、決して大げさとはいえない。
この法案の概要を政府が公表するまで、検討過程は非公開で行われた。本来は弁護士ら専門家の意見も取り入れて検討するべきだろう。そして丁寧に国民に説明しなければならない。
政府は来月中旬に召集予定の臨時国会に、法案を提出する構えだ。だが国民の理解が進まないうちに、限られた時間で成立を急ぐには問題が多過ぎる。「知る権利」への配慮を示す程度の修正では、とても納得できない。 |
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