参院選宮城選挙区　最終盤激戦ルポ　２議席目の攻防白熱

　参院選は投開票の２１日まで２日となった。宮城選挙区（改選数２）では最終盤の攻防が白熱している。トップを走る自民党現職は引き締めを図る。２議席目は民主党現職とみんなの党新人が激しく競る。ラストスパートに入った決戦場を見た。（敬称略）

　「最後の１議席は民主党に与えてほしい」。１８日午後、仙台市青葉区を走る民主党現職岡崎トミ子（６９）の選挙カーから、元財務相安住淳の声が響いた。
　１７日から３日間、県選出国会議員３人が朝から晩まで選挙カーに交代で張り付く。県議らも加わった最後の総力戦だ。
　２００１年、０７年と連続トップ当選の実績がある岡崎だが、報道各社が伝える終盤情勢はみんなの党新人和田政宗（３８）との接戦。「厳しいが、大切な１議席を守らせてほしい」。岡崎の声に危機感がにじむ。
　全国遊説に奔走していた党政調会長の桜井充も岡崎にぴたりと付く。桜井が３選を果たした１０年参院選で、岡崎は２議席独占を狙って新人候補を支援した経緯がある。
　「私が今のステージにいるのは岡崎さんのおかげ。今こそ恩を返す時だ」。１２日、青葉区の個人演説会で桜井は声を張り上げた。民主の「顔」の危機が、過去の因縁を超えて結束を呼ぶ。

◎経済界の応援も背に

　「新しい日本をつくっていける候補者だ」。３連休最終日の１５日昼。青葉区の街頭で楽天社長三木谷浩史が和田への支持を訴えた。
　横に立つ和田はプロ野球・東北楽天のチーム色、クリムゾンレッドのシャツ姿。雨脚が強まる中、「雨が降っても、やりが降ってもやる。被災地の状況は待ったなしだ」と被災者の生活再建を支える決意を叫んだ。
　三木谷が代表の経済団体「新経済連盟」は８候補を推薦したが、街頭で応援するのは和田が２人目。「当落線上にいるので足を運ばさせてもらった」と説明した。
　ネット空間での支持訴えにも余念がない。米国や韓国の選挙を連想させるネガティブキャンペーンもその一つだ。
　岡崎は０３年の訪韓時、元従軍慰安婦による日本政府への謝罪要請の場にいた。和田陣営は「反日デモ参加」と取り上げる動画をネットに流す。陣営は「誹謗（ひぼう）中傷ではなく淡々と事実を伝えている」と語る。

◎独走ムード緩みを警戒

　２議席目の争いを尻目に、独走する自民党現職の愛知治郎（４４）の陣営は、支持者に広がる緩みと戦っている。
　「わが陣営が他候補に票が流れるのを容認しているとのうわさがあるが、そんなことはあり得ない。油断するな」。１６日、仙台市内のホテルであった陣営の会議。選対本部長の党県連筆頭副会長相沢光哉が強い調子で語った。他陣営による保守票切り崩しをけん制しながら慢心を戒めた。
　最終盤は地域をくまなく回り、確実に票をまとめる−。愛知は翌日から、祖父の元蔵相揆一が築いた後援会「愛知会」に伝わる定石を守り、地盤を走り回った。亘理町では農漁業の現場を訪ね、「必ず当選し復興を加速させる」と生産者一人一人に握手を求めた。
　ここにきて、２議席目争いが過熱していることによる減票の懸念も浮上してきた。陣営幹部は「街頭演説や個人演説会に行けない有権者と触れ合い、票に結び付ける」と意気込む。

◎憲法改正の暴走止める

　共産党新人の岩渕彩子（３０）は１８日朝、塩釜市内で「安倍晋三首相は憲法９条改正を明言した。暴走を止められるのは共産党だけだ」と強調。陣営は党支持層を固めるとともに、仙台市近郊の住宅街をくまなく回って無党派票取り込みを狙う。
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　幸福実現党新人の皀智子（４１）は憲法９条改正などを訴える。

＜宮城選挙区立候補者（２−５）＞
皀智子　　　４１　主婦　　　　　諸　　　新
愛知治郎　　４４　行政監視委長　自（無）現（２）（公推）
岩渕彩子　　３０　党県相談室長　共　　　新
和田政宗　　３８　元ＮＨＫ職員　み　　　新
岡崎トミ子　６９　元消費者相　　民　　　現（３）