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日本人初・ポーカー世界王者「勝利の極意は株式投資」
編集委員 小林明

(3/4ページ)
2013/6/7 6:30
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 ポーカー世界選手権(WSOP)は毎年5~7月に米ラスベガスでメーンイベントのほか、サブイベントも含めて約60種目の競技が行われる。満21歳以上なら誰でも参加でき、参加費は種目ごとに1000ドル(約10万円)程度から5万ドル(約500万円)まで様々。メーンイベントの優勝賞金が1200万ドル(約12億円)に達したこともある。優勝者には大きな賞金が贈られるが、上位10%の入賞者にも参加費の2倍程度の賞金が贈られるそうだ。

■一睡もできなかった3日間

 木原さんが優勝したのはサブイベントの「ポット・リミット・オマハ/シックス・ハンデッド」という種目。1日10時間の熱戦を3日間続けた末に参加者419人の頂点に立った。「興奮していたせいか、3日間で一睡も出来なかった」と振り返る。

 決勝の最終局面の模様を再現してみよう。

 「ポット・リミット・オマハ/シックス・ハンデッド」では手札のうち2枚、場札のうち3枚からベストの5枚を選び、役を作るのがルール。木原さんの手札は「ハートK、ハートQ、スペードJ、クラブ6」。場札は「スペードA、ハートJ、ハート2」。

 役は「Jのワンペア」だけだが、場札の4枚目(ターン)か5枚目(リバー)に10が来れば「ストレート」、ハートが来ればハートの「フラッシュ」が完成する。

 一方のクリス・デマーシさんの手札は「スペード2、クラブ3、スペード4、クラブ5」。手札からは2枚しか使えないので役は「2のワンペア」だけ。ただ、場札の4枚目(ターン)か5枚目(リバー)に3か4か5が来れば「ストレート」、2が来れば「スリーカード」が完成する。

■勝負を分けたその瞬間……

 木原さんの手札はまだ「Jのワンペア」だけ。

 「Aがペアになっていないので不利かもしれないが、勝機は五分五分くらいだろう」と読んでいた。この時点で持ち点は木原さんが500万点、クリスさんが100万点。すると、クリスさんが持ち点すべてを投入し、ここ一番の大勝負に打って出た。持ち点が少ないので、勝負に出ない限り、ジリ貧になるため、「ここが勝負時」と判断したようだ。

世界選手権の決勝戦の様子(上)、優勝した際の記念写真(下、妻の裕美さんと)
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世界選手権の決勝戦の様子(上)、優勝した際の記念写真(下、妻の裕美さんと)

 「受けて立つしかない……」。木原さんも同じ額だけチップを提示することにした。

 ――場札の4枚目(ターン)はダイヤ6。

 木原さんはこれで「Jと6のツーペア」が完成。

 ――最後の場札の5枚目(リバー)はクラブ7。

 結局、木原さんの「ストレート」「フラッシュ」も、クリスさんの「ストレート」「スリーカード」も完成せず、木原さんがゲームを制することになった。クリスさんとの一騎打ちは40分ほどで終わった。

 「淡々と普段通りに、投資効率に見合った期待値の高いプレーを積み重ねることができたのが勝因」と木原さん。リスクを恐れて勝負しなければ勝てない――。セオリー通りに勝利を手に入れ、「うれしいというよりも、むしろホッとした」とその時の胸の内を打ち明ける。

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