江戸しぐさ

江戸時代の庶民が身についていた江戸しぐさ。お金や物よりも人間を大事にし、差別のない共生の精神で、皆が仲良く暮らせる平和を基本として考える、この江戸しぐさを現在の子どもたちに伝えていく授業である。

TOSS長州教育サークル 桑原佑樹


※コンテンツが必要な方は、桑原まで yuuki-k@r4.dion.ne.jp ご連絡下さい。
また、googleのイメージ検索 で「江戸しぐさ  AC公共広告機構」で検索をかければ、江戸しぐさのイラストが出てきますので、授業をする場合は、イラストを加工してお使い下さい。

スクリーンに傘かしげのイラストを提示して聞きました。

何をしているでしょう。

・お話をしている。
・おどっている。
・デートをしている。
おもしろ意見が出ました。

お互いに傘を外側に向けていたんです。
すれ違うときに、しずくがかからないようにして
いたんですね。
 このことを「傘かしげ」といいます。

次に肩引きのイラストを提示して聞きました。

何をしているでしょう。

・話をしている。
・橋を渡っている。

お互いに右肩を引いて、譲り合って橋を渡っていたんですね。
「肩引き」といます。

3つ目の「こぶし腰浮かせ」のイラストを提示して聞きました。

何をしているでしょう。

・座っている。
・何かを見ている。

実は、バスを待っているんだけど、もう一人来たので、こぶし一つ分ずつ席を詰めて、もう一人座れるスペースを作っていたんですね。
これらの3つの写真を見て、気づいたことを書きましょう。

次のような意見が出ました。
・ゆずりあっている。
・親切にしている。
・相手のことを考えている。
・工夫している。
・けんかにならないようにしている。
・優しい心を持っている。
・助けあっている。

このような振る舞いを江戸しぐさといいます。
みんなで言ってみましょう。「江戸しぐさ」
この江戸しぐさというのは江戸時代に生まれたものなのです。
江戸時代というのは、今から300年以上も昔の時代です。
お侍さんがいた時代のことです。

例えば、あなたが足を踏まれてしまったとき、どんな行動をとりますか?

・痛いと思う。
・怒ってしまう。

普通の人は、怒ってしまいますよね。
でも江戸しぐさを身につけている人は違いました。
どんな行動をとったでしょう。

うかつあやまりのイラストを提示してヒントを出しました。
・笑顔で許してあげた。

踏んだ人はもちろん、踏まれた人も「とっさによけられない私がうかつでした」という口に出さなくてもそういう態度をとったのです。
これを「うかつあやまり」といいます。

「蟹歩き」のイラストを提示して聞きました。

こんな江戸しぐさもありました。
どんな江戸しぐさだと思いますか?
これは蟹歩きという江戸しぐさです。
狭い道で写真のように蟹歩きで譲りあって歩いたんですね。
昔の小学校では、この蟹歩きを練習していたんですよ。

その他にも三脱の教えというのがありました。
初めて会ったときに、聞いてはいけないことがありました。
一つは年齢です。
残り二つ、予想してノートに書いてごらん。

・体重(もちろんこれも失礼ですが、2つの中に入っていません。)
・名前

仕事と地位を聞いてはいけなかったんです。
江戸の人は、職業や地位などによって態度を変えることを嫌ったんです。
江戸しぐさというのは、
@人にして気持ちがいい。
Aしてもらって気持ちがいい。
B見ていても気持ちがいい。
というようなみんなが気持ちよく笑顔で暮らせるものだったんですね。

このクラスでもみんなが気持ちよく暮らせるために「3の1しぐさ」を考えたいと思います。

ひとつ例を出しました。
へんじしぐさ・・・「はいっ」と相手に聞こえる返事をする。

プリントに書いた子に黒板に書いてもらいました。

あとしまつしぐさ・・・きちんと最初にあったところに片付ける
笑顔しぐさ・・・笑顔でくらす
そうじしぐさ・・・ゆかやまどをきれいにする
あいさつしぐさ・・・人にあったら自分からあいさつをする
おとしものしぐさ・・・おとしものをとってあげる
うわぐつしぐさ・・・うわぐつをきちんとそろえる
スリッパしぐさ・・・手でスリッパをきちんとそろえる
すぐにごめんねしぐさ・・・ぶつかったらすぐにあやまる
おわらいしぐさ・・・みんなを笑わせて楽しくする。

この後に感想を書きました。
一部紹介します。

・江戸時代の時にいた人は、しんせつにしていたことがわかりました。あと江戸しぐさというのがあったなんてしりませんでした。
わたしは江戸しぐさはいいことをしているんだなとわかりました。

・江戸時代の人はすごいと思いました。いろんなしぐさがあるのをはじめて知りました。

・江戸時代の人はとても頭がよくて、みんななかよくくらせるしぐさをつくるなんてすごいです。
江戸しぐさを日本にはやらせて、なかのよい生活がしたいです。

・昔の江戸にこんなしぐさがあるなってしりませんでした。みんなで考えたいろいろなしぐさですごしたらきっといいクラスになるだろうなと思いました。

・江戸じだいはゆずりあっていたからわたしのクラスもゆずりあってけんかにならないようにしたいです。

・ぼくはしぐさというものがあるとはしりませんでした。あと江戸じだいはすばらしいじだいだと思います。仙崎小学校をいい学校にしたいです。

・江戸じだいの人はすばらしいなと思いました。つぎは日本じゅうに江戸しぐさブームにしたいです。

・江戸じだいって、いいところだなぁと思いました。それと江戸しぐさみたいな学校になったらいいなぁと思いました。

参考文献 『身につけよう! 江戸しぐさ』 越川禮子 著  KKロングセラーズ
       『商人道 「江戸しぐさ」の知恵袋』 越川禮子 著 講談社プラスアルファー新書