愛知・警官脅迫:「内通者は10人未満」 元警官が証人出廷−−名古屋地裁公判

毎日新聞 2013年05月29日 中部朝刊

 暴力団捜査を担当する愛知県警の警部を電話で脅したとして脅迫罪などに問われた風俗店グループの実質的経営者、佐藤義徳被告(55)の公判が28日、名古屋地裁(前田巌裁判長)であった。検察側証人として元県警警察官が出廷し、「佐藤被告に捜査情報を教えた見返りに、飲食や現金を供与された」と明かした。さらに「把握している内通者は10人未満」として2人の実名を挙げ、県警内部に複数の内通者がいたことを示唆した。

 県警は、この風俗店グループが指定暴力団山口組弘道会の資金源とみている。

 証言によると、この元警察官は2010年9月に自主退職するまで主に暴力団捜査を担当。元同僚から00年ごろ、捜査協力者として佐藤被告を紹介され、経営する風俗店などを訪れるようになった。関係者の犯歴を照会した警察官や店の家宅捜索などについて調べるよう依頼され、「複数回教えた」という。

 07年ごろには佐藤被告の妻への捜査を中止するよう頼まれ、上司に進言。だが捜査が続いたため、佐藤被告といったん絶縁したという。県警が店を捜索した際、この元警察官が佐藤被告から借りた850万円の借用書が見つかり、08年に処分を受けた。

 佐藤被告が警部に脅迫電話をかけたとされる10年7〜8月の約2カ月前、元警察官は佐藤被告から「警部の弱みを知らないか」と尋ねられ、警部に「佐藤被告に気を付けろ」と忠告したという。

 また、佐藤被告と交際していた女性も出廷。「10年春ごろ、佐藤被告の自宅建設を妨害していた警部が分かり、佐藤被告は『血祭りに上げる』などと言っていた」と話した。女性は「佐藤被告は『警察も金で買える』と話していたため、聴取を受けた警察官のことも当初は信用できなかった」と述べた。

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