大分県立竹田高（竹田市）２年だった工藤剣太さん（当時17）が剣道部の練習中に倒れ死亡したのは、当時の顧問らが適切な処置を怠ったためだとして、両親が県や元顧問などに計約8600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大分地裁は21日、請求を一部認め、県などに約4656万円の支払いを命じた。

　中平健裁判長は判決理由で「顧問は異常行動が認められたのに、すぐに救急車を呼ぶなどの措置をとらなかった。副顧問は練習を中止するなどしておらず、注意義務違反」と指摘した。

　ただ「学校の教育活動での過失は、国家賠償法に基づき県が責任を負う」として、元顧問と副顧問への請求は棄却した。

　病院については「搬入されてから約２時間、冷却措置をしなかった」と過失を認めた。

　判決によると、工藤さんは2009年８月22日、竹田高の剣道場で練習中に熱中症で倒れ、搬送された病院で同日夕に死亡した。顧問と副顧問が指導していた。

　判決後、記者会見した父親（48）は「２人の責任は認められたが、賠償の義務がないのは残念で、これを崩したかった」と話した。県は「判決の内容を検討し、今後対応する」としている。

　県警は当時の顧問と副顧問を業務上過失致死容疑で書類送検したが、大分地検は嫌疑不十分で不起訴とした。両親は大分検察審査会に審査を申し立てている。〔共同〕