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南相馬4河川、農業利用可 セシウムは川底沈着 広島大調査

 福島第1原発から16〜38キロ離れた福島県南相馬市を流れる4河川の水は、ほとんど放射性物質を含んでいないことが、広島大大学院工学研究院の静間清教授(63)=原子核物理学=の調査で分かった。放射性セシウムは川底の土に沈着し水に流れ出にくい状態という。静間教授は「農業で使っても作物に影響がないレベル」とし、南相馬市で3月中にも住民向けの説明会を開く予定だ。
 原発事故から半年の2011年9月から昨年12月まで、静間教授は南相馬市で10回の調査を重ねた。真野、新田、太田、小高川の計21カ所で水と川底の土を採取。広島大に持ち帰って、セシウム濃度を機械で測定した。
 水1リットル当たり0.3〜0.8ベクレルで、国が定める飲料水の基準値10ベクレルより低かった。「セシウムは粘土質の土にくっつき、一つに固まる性質があり、水にはほとんど流れ出ない」と静間教授。全市的に自粛している農業については「川から水を引いて農作物を作っても問題はない」と説明する。4河川の水は事故前から、飲み水には使われていない。
 一方、上流の川底の土は、セシウムの濃度が1キロ当たり2万5000〜1400ベクレル。2万5000ベクレルは、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)で隣国ベラルーシが立ち入り禁止にした地域と同じ汚染レベルだ。
 南相馬市は4月から、市内の全農地や用水路を2年がかりで除染する。それが終われば、川の水を農業に使うことは可能という。
 ただ、川底の土の処理についてはいまのところ、有効な手段が見つかっていない。市農林放射線対策課は「国から具体的な方法が指示されていないため、対応できない」と説明する。
 静間教授は、住民の内部被ばくを調べるため、尿の放射性物質量も分析した。被爆地広島の科学者として「ヒロシマの蓄積で得た測定技術を駆使し、正確な数値を伝え続けることが安心につながる」と決意は固い。


2013年03月04日月曜日


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