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ハフィントン・ポスト 成功の鍵は2月21日 10時19分
アメリカで最も成功したニュースサイトと言われる「ハフィントン・ポスト」。創刊からわずか８年で、全米の利用者は月間６０００万人を超えました。
ハフィントンポストの成功の鍵は何なのか。２０日、東京都内で講演を行ったジミー・メイマンＣＥＯが、まず挙げたキーワードは「ソーシャルニュース」でした。
急成長したハフィントン・ポスト
ハフィントン・ポストは、２００５年に作家でコラムニストのアリアナ・ハフィントン氏がアメリカで創刊しました。当初は政治ブログとしてスタートしましたが、次第にニュースの掲載を増やしていきました。
オバマ大統領など多くの著名人が寄稿したこともあって、利用者は急速に増え続けています。アメリカでのことし１月の月間利用者は６３６７万人、この１年間だけでも５００万人増えました。
イギリスやスペインなどにも展開し、ことし５月からは日本語版も始まる予定です。
成功の鍵は「ソーシャルニュース」
ハフィントン・ポストの最大の特徴はユーザーとの交流です。
記事の下にはユーザーがコメントを書き込めるスペースがあるほか、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアとの連携も積極的に行っています。
ハフィントン・ポストに寄せられるコメントは毎月８００万件以上。１つの記事に５０００超のコメントが書き込まれることもあるといいます。
講演の中で、ジミー・メイマンＣＥＯが成功のキーワードとしてまず挙げたのは、ソーシャルニュースでした。
「私たちは、ニューヨーク・タイムズのような従来のニュースメディアではありませんし、フェイスブックのようなソーシャルメディアでもありません。この２つを統合して全く新しいソーシャルニュースを立ち上げたと自負しています。ソーシャルニュースの大きな特徴は、ユーザーが参加できることです。ここ最近、単なる読み手としてだけではなく、自分も何か発信したい、何か言いたいという人たちが増えてきています。こうした人たちをうまくつかむことができたことで、今の私たちがあると考えています」
ソーシャルニュースに親しんでいるのは、フェイスブックやツイッターなどを日常的に利用している若い人たちです。ハフィントンポストの利用者の３分の１は３５歳以下の若い世代だということです。
豊富な記事とテクノロジー
ハフィントンポストで働く記者や編集者は約５００人。このほか約３万人のブロガーから記事が寄せられます。
記事は、政治や経済、健康、娯楽など５０を超えるジャンルに分かれて掲載されます。１日に配信される記事は１６００本以上。５８秒に１本の割合で配信されていることになります。
メイマン氏は、これだけ多くの記事を効率的に編集するためには、テクノロジーの活用が欠かせないといいます。
「従来の新聞では、編集長と呼ばれる人が、トップページの記事を何にするのかを決めていました。しかし、これだけ多くの記事を抱えると、テクノロジーが大きな役割を果たすようになります。編集長がユーザーにどの記事を読んでもらうのかを決めるのではなく、ユーザーの傾向など膨大なデータを分析するテクノロジーがどの記事をトップページに掲載するのかを決めるのです。ユーザーにとって何がよい記事なのかを正しく判断することは、昔から行われてきましたが、今では、こうした判断をリアルタイムで瞬時に最適化することができます」
インターネット時代のメディアとは
アメリカでは、今、多くの新聞や雑誌が深刻な経営難に陥っています。
１９日には創刊から９０年を超える老舗（しにせ）の雑誌「リーダーズ・ダイジェスト」を発行する会社が、日本の民事再生法に当たる連邦破産法の適用を申請しました。
メディアの勢力図が大きく変わろうとしているのか。講演後のＮＨＫとのインタビューで、メイマン氏は次のように述べました。
「伝統的なメディアは、今では、自分たちの衰退がもう止まることがないことに気付いていて、オンラインの世界に相次いで移行しています。もちろん優秀な記者の資質というのは変わっていません。ユーザーの興味のあるテーマについて良質な情報を入手し、記事を書くということです。オンラインであろうとオフラインであろうと『記事を書く』という能力は依然として問われます。しかし、これまでの記事をそのままオンラインに移すだけでは、ユーザーの期待に応えたことにはなりません。デジタルの世界で起きる進化や価値観の変化を理解したうえで、ユーザーに受け入れられるためには何が本当に必要なのかを理解することが重要だと思います」
（ネット報道部：吉田渉・山本智）
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