日本政府、韓日請求権協定締結前から個人への賠償想定せず

1962年に試算、個人への賠償額は含まず

 日本は1965年、韓日請求権協定を締結する前から、慰安婦の強制動員などについて謝罪や賠償を行うことを全く考慮していなかったことが分かった。

 東京新聞が19日報じたところによると、日本の外務省は最近、市民団体の要求を受け、62年に行われた韓日国交正常化交渉に関する外交文書を新たに公開、その中で上記のような事実が明らかになったという。この文書によると、韓日請求権協定締結の3年前の62年、当時の大平正義官房長官(後に首相)は、外務省や大蔵省(現・財務省)に対し、韓国の対日請求権の規模を試算するよう指示した。本格的な協定締結に先立ち、韓国に対し補償すべき資金の規模を見積もるためだったとみられる。

 日本政府は当時、郵便貯金や有価証券、未払いの賃金や恩給(公務員年金)などの規模を試算した。外務省は7000万ドル(現在のレートで約65億4800万円、以下同じ)、大蔵省は1600万ドル(約15億円)が必要だと推定した。朝鮮人労働者の強制徴用や慰安婦の強制動員など、個人に対する賠償額は全く含まれていなかったというわけだ。このような事実は、今後の裁判の過程で、強制徴用の被害者など、個人の請求権が消滅していないことを立証する証拠として活用できる、と法律の専門家たちは見ている。

 日本政府や裁判所はこれまで、韓日請求権協定により、個人の請求権は完全に消滅したとの意向を貫いてきた。一方、韓国政府は旧日本軍に強制動員された慰安婦や朝鮮人の強制徴用被害者など、個人に対する賠償を求めている。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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