独自ロケットがない悲哀、衛星打ち上げに遅れ

 ロシアが国際契約を無視し、強気に出ることができるのは、世界の衛星打ち上げ代行市場がフランスとロシアによる事実上の寡占状態にあるからだ。それだけに価格もつり上がる。06年のアリラン2号打ち上げでロシアに支払った金額は1200万ドル(約10億9000万円)だったが、現在は2500万ドル(約22億7000万円)を要求される。昨年は日本のH2Aロケットを使い、アリラン3号を打ち上げたが、打ち上げ費用は2000万ドル(約18億2000万円)だった。

 李所長は「日本が初めて打ち上げる外国の衛星だった上、日本の衛星と同時に打ち上げた『相乗り』方式だったため、費用が安く済んだ。現在は5000万ドル(約45億4000万円)まで相場が上がっている」と話した。

 金銭だけで解決できない問題もある。国家間の情報戦だ。アリラン2号を打ち上げた際、航空宇宙研究院は当初、価格に比べ性能がロシアより優れた中国の「長征」ロケットを選んだ。しかし、アリラン2号の部品は大半が米国製だった。米国政府は中国に衛星部品に関する情報が流出することを恐れ、韓国に対し「中国のロケットを使用するならば、衛星の部品を供給しない」と圧力をかけてきた。結局韓国政府はロシアのロケットを使用する方針に転換した。同研究院の趙光来(チョ・グァンレ)羅老号打ち上げ推進団長は「中国と契約した段階だったので、違約金まで支払わざるを得なかった」と明かした。

 建国大航空宇宙工学科の李昌鎮(イ・チャンジン)教授は「宇宙への道は宇宙ロケットしかない。独自の宇宙ロケットがなければ、開発を支障なく進めることはできない」と指摘した。

李永完(イ・ヨンワン)記者
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>