羅老号:遅れる独自ロケット開発の課題

 羅老号の打ち上げに2回連続で失敗して以降、韓国政府は2010年に韓国独自のロケット開発に本格的に着手した。2021年に重さ1.5トンの実用衛星を打ち上げることが可能な独自のロケットを開発することが目標だ。目標を達成するには時間がないが「過去2年間は無駄だった」との評価が聞かれる。このままでは10年間の曲折を経た羅老号と同様の試行錯誤を繰り返すことになりかねない。

 韓国政府は1990年代後半に宇宙ロケットの独自開発を推進した。その後、98年に北朝鮮が弾道ミサイル「テポドン」を発射したことで、宇宙ロケットの打ち上げ計画を前倒しした。独自開発では到底間に合わないため、2002年からロシアの技術を導入した。結局は大統領府(青瓦台)が指示した05年から1年遅れの06年に、ロシアからの技術移転ではなくロシアが製造した1段目ロケットをそのまま導入することが決まった。

 韓国政府は羅老号事業で航空宇宙研究院が閉鎖的な研究を行い、産業界の協力を得られなかったと判断。11年に同院から独立する形で韓国独自のロケット開発に向けた事業団を発足させた。21年までに割り当てられる予算は1兆5000億ウォン(約1260億円)だ。事業団関係者は「開発スケジュールを守るためには、予算を早期に集中執行し、ロケット開発に必要なインフラを整える必要がある」と訴えた。

 しかし、一部のプロジェクトは予算執行率が50%にとどまるなど遅れている。200人に満たないロケット研究人材も羅老号の打ち上げに駆り出された。独立した組織をつくったものの、人材と資金の支援が不足した形だ。建国大航空宇宙情報工学科の李昌鎮(イ・チャンジン)教授は「韓国独自のロケットを成功させるためには、韓国の大企業が参入しなければならないが、現在の予算規模では企業が参入する動機にはならない」と指摘した。

 予算削減には羅老号の打ち上げ失敗による影響が大きかった。国会などが失敗に対する懲罰的な意味合いでロケット関連予算を削減したためだ。11年には教育科学技術部(省に相当)の金昌経(キム・チャンギョン)第2次官(科学担当)がロケット開発予算の削減を主張する国会に対し「そんなに予算を削減するというなら、いっそロケット開発をしない方がよい」と発言した。

 最大の問題は実験施設の建設が遅れていることだ。航空宇宙研究院の金承祚(キム・スンジョ)院長は「75トンロケットの重要部品は既に開発を完了した。部品をテストする実験施設がないために時間を浪費している」と述べた。ある宇宙専門家は「世界最高の民間ロケットモデルであるスペースX社のファルコン・ロケットでさえ、米航空宇宙局(NASA)の技術移転を受けても9年間かかった。政府の強い意志と予算執行が求められる」と訴えた。

李永完(イ・ヨンワン)記者
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