財政の崖:土壇場で回避 米下院が中間層減税延長など可決

毎日新聞 2013年01月02日 20時30分(最終更新 01月03日 00時33分)

 【ワシントン平地修】大規模減税の失効と歳出の自動削減が年明けに重なった米国の「財政の崖」をめぐり、米議会下院は1日深夜(日本時間2日午後)、中間所得層の減税延長や歳出の自動削減の2カ月先送りなどを盛り込んだ法案を賛成多数で可決した。上院はすでに同案を可決しており、オバマ大統領の署名により成立する。米国だけでなく世界経済への波及が懸念された大幅な財政緊縮は土壇場で回避された。

 法案は、12年末でいったん期限切れとなった大規模な所得税減税について、年収45万ドル(約3900万円)未満の世帯を対象に無期限で延長。緊急的な失業保険給付も延長が盛り込まれた。

 国防費などを含め10年間で1兆2000億ドル規模に上る歳出削減については発動時期の2カ月延期が決まったが、それを回避するためには新たに与野党が財政健全化の取り組みで合意することが必要。2月には政府債務が上限に達する可能性があり、財政緊縮への不安が完全に払拭(ふっしょく)されたとは言えない。

 オバマ大統領は法案可決後にホワイトハウスで演説し「2%の富裕層に対し増税し、中間層の増税を防ぐものだ」と評価した。

 当初主張していた年収25万ドル以上の富裕層への減税打ち切りは、共和党との妥協で45万ドル以上に対象が狭められたが、所得税の実質的な増税は過去20年で初めて。大統領選で強く主張した富裕層向け増税の公約は辛うじて維持した。大統領は「公平な税負担こそ米国の成長のあるべき姿」と今後の包括的な財政改革に意欲を示した。

 「財政の崖」回避を目指す民主、共和両党の与野党協議は、昨年11月の大統領選後に本格化したが、減税延長の対象などを巡り難航。12月31日にようやく議会上院で与野党合意が成立し、1日未明に89対8の賛成多数で法案が可決した。しかし、下院で多数を占める共和党には「歳出削減が足りない」との不満が根強く、一時は採決が危ぶまれた。最終的に1日深夜に257対167の賛成多数で法案が可決された。

 仮に法案処理が遅れれば、米国は、増税や歳出削減など5000億ドル超の財政緊縮となり、米経済の失速や世界の金融市場に混乱が生じると懸念されていた。今回の法案可決で1日から減税延長などが適用され、景気への影響は限定的となる見通しだ。

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