がん細胞:「光治療」1回で破壊 米研究チームが成功

毎日新聞 2013年01月07日 15時00分

 薬剤と体の外から光を当てる治療法を組み合わせ、マウス体内のがん細胞を1回だけの治療で破壊する実験に、米国立衛生研究所の研究チームが成功したとして、米化学会ナノテクノロジー誌(電子版)に発表した。正常な細胞は傷つけず、患者の負担も軽い治療法として、数年程度での臨床応用を目指す予定だ。

 チームは11年、近赤外光を当てると発熱する化学物質を、がん細胞特有のたんぱく質に結びつく抗体に取り付け、がんのマウスに注射する治療法を開発。マウスに近赤外光を繰り返し当てることで、がん細胞に結びついた化学物質の熱でがんが破壊された。ただ、体の深い部分のがんは腹腔(ふくくう)鏡や手術して光を当てることが必要なため、光治療の回数の増加が患者の一定の負担になる懸念があった。

 この問題を解決するため、チームは「ナノ製剤」と呼ばれる、がんに集まりやすい細工を加えた抗がん剤の併用を考えた。子宮がん由来の悪性腫瘍を体の深部に発症したマウスに光治療を施し、続いて抗がん剤を注射した。その結果、1回の治療だけで、10匹のマウスのうち6匹はがんが消え、6カ月後も生存していた。薬だけや、1回の光治療だけのマウスは、いずれも2カ月以内に死んだ。

 チームの小林久隆主任研究員は「最初の光治療で血管に近い活動度の高いがんが破壊され、薬剤が奥のがんに浸透しやすくなった」と説明する。分析では、がんへの薬剤の集まりが、光治療をしない場合の約20倍に達した。頭頚(とうけい)部がん、肺がん、乳がんにも効果があることを確認しているという。【永山悦子】

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