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ユズ、ミカン、カボス、スダチの柑橘類についての考察 
福島県発表の野菜中の放射能量データの追跡調査からの考察 
平成23年11月11日
平成23年11月11日までのユズ、ミカン、カボス、スダチのモニタリング結果をグラフ化し、
考察を試みました。

結果、ユズについて
33検体中、放射性セシウムは南相馬市の2,400Bq/kgを最高に
福島市、伊達市、桑折町において6検体の暫定基準値越えが認められました。

ミカンについて
5検体中、放射性セシウムは南相馬市の360Bq/kgを最高値として検出したものの
暫定基準値越えはありませんでした。

カボスについて
7検体中、放射性セシウムは南相馬市の400Bq/kgを最高値として検出したものの
暫定基準値越えはありませんでした。

スダチについて
1検体ではありますが、放射性セシウムは福島市の290Bq/kgを検出したものの
暫定基準値越えではありませんでした。

これらデータを見ると、今年の桃における239検体中、100Bq/kgを超えたのは僅か伊達市の3検体だけ※1
という結果と比較すると、柑橘類は放射性セシウムを吸収しやすいといえるでしょう。


考察
暫定基準値越えは、いずれも特定地域のみで福島県全域で検出されているわけではありません。
検査結果や情報を正しく把握して頂ければ、安全に摂取する事ができるでしょう。
よって、昨年同様に安心して福島の秋の味覚を堪能して頂けることをお願い致します。

ここで、果樹における放射性セシウムの吸収特性として、
どこから放射性セシウムが吸収されたのかとの疑問が多く寄せられます。
根拠は、放射性セシウムが土壌中の浸透速度が年間0.5p程度と言う情報からと思われます。

果樹における放射性セシウムによる汚染は、根からの吸収ではなく、
福島第一原発事故直後の噴出し飛来した放射性ヨウ素や放射性セシウムにより、
果樹の葉、枝、幹から吸収されたものと推定されています。
根拠は、農薬の幾つかに金属イオンを葉から吸収させて効果を生むものが少なくないからです。

最後に、これら柑橘類は福島においてたくさん生産されている品目ではありません。
これらは、個人の庭で実った品目が対象と言えるでしょう。

冬至においては、柚子湯は日本の貴重な伝統文化です。
お正月においては、鏡餅のてっぺんにある橙(ダイダイ)もそうです。

これら市場にほとんど流通しない福島産の柑橘類を取上げた理由は、
測定結果の情報を正しく評価する事で、
代々伝わって来た食文化や季節の風物などの
文化的な価値を失わないように願う思いから考察して見ました。

実際、食品の風評被害以外でも過大なリスク評価は、
福島県の風物詩の一つである軒下に並ぶ干し柿の風景を奪ってしまいました。
これも原発事故による風評被害の一つと言って良いでしょう。
この被害は決して軽いものでは無く、大きな損失だと言えるのではないでしょうか。
文責 AFTC副代表 半谷 輝己
※1 モモについての考察
 
 福島県市町村名地図
 
ユズ中の放射性セシウム(Cs-134、Cs-137合算)
平成23年8月23日〜11月2日
   ※単位はBq/kgであり、Cs-134とCs-137の合計値である
   ※福島県発表のデータを基に作成 
   ※サンプルは、8月23日から11月2日までの33件である
   ※グラフ中の0の値はND(検出無し)の意味である
   ※黄色は日本の暫定基準値500Bq/kgより高く、米国の基準値1,200Bq/kg以下の値である
   ※赤色は米国の基準値1,200Bq/kgより高い値である
ミカン中の放射性セシウム(Cs-134、Cs-137合算)
平成23年10月31日〜11月5日
   ※単位はBq/kgであり、Cs-134とCs-137の合計値である
   ※福島県発表のデータを基に作成 
   ※サンプルは、10月31日から11月5日までの5件である
   ※グラフ中の0の値はND(検出無し)の意味である
   ※黄色は日本の暫定基準値500Bq/kgより高く、米国の基準値1,200Bq/kg以下の値である
   ※赤色は米国の基準値1,200Bq/kgより高い値である
カボス中の放射性セシウム(Cs-134、Cs-137合算)
平成23年9月9日〜10月7日
   ※単位はBq/kgであり、Cs-134とCs-137の合計値である
   ※福島県発表のデータを基に作成 
   ※サンプルは、9月9日から10月7日までの7件である
   ※グラフ中の0の値はND(検出無し)の意味である
   ※黄色は日本の暫定基準値500Bq/kgより高く、米国の基準値1,200Bq/kg以下の値である
   ※赤色は米国の基準値1,200Bq/kgより高い値である
スダチ中の放射性セシウム(Cs-134、Cs-137合算)
平成23年9月9日
グラフ作成者 佐久間 雄嗣
   ※単位はBq/kgであり、Cs-134とCs-137の合計値である
   ※福島県発表のデータを基に作成 
   ※サンプルは、9月9日の1件である
   ※グラフ中の0の値はND(検出無し)の意味である
   ※黄色は日本の暫定基準値500Bq/kgより高く、米国の基準値1,200Bq/kg以下の値である
   ※赤色は米国の基準値1,200Bq/kgより高い値である
  
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