2012年04月02日

社会保障と税の一体改革関連法案の閣議決定を受けて

テーマ:政策のこと

先週末の3月30日に、社会保障と税の一体改革関連法案が閣議決定されました。


連日、深夜まで及ぶ党内議論の結果まとめられた法案です。マスコミ報道を見ると党内政局ばかりの印象ですが、相当、中身の濃い議論が行なわれたと思っています。景気への影響、低所得者への配慮、価格転嫁の問題、住宅などの高額品の駆け込み需要とその反動減対策などについて、広範な議論が行なわれました。特に、一期生を中心とした若手の議論には聞きごたえがあるものが多々ありました。しかしながら、最終的に、全員の意見が一致することはありませんでした。いい議論が行なわれていただけに残念です。ただ、閣議決定され法案が国会に提出された今となっては、これから国会でしっかりと議論を尽くすしかないと思っています。


とりわけ、私は、給付付き税額控除をはじめとした低所得者対策・逆進性対策と、効率的な徴収体制を構築するための歳入庁の創設については、速やかに議論を深めていくことが必要だと思っています。話題となった景気弾力条項については、厳密に言えば、税率引き上げの条件にはなっていない以上、税法改正の中で議論することにあまり意味がないのではないかと思っています。別途、新成長戦略(2010年6月閣議決定)や日本再生の基本戦略(2012年12月閣議決定)の進捗状況をチェックしたうえで、現実的で、実現可能な経済成長議論を深めるべきだと思います。


個人的には、政府の掲げる3%の名目成長率、2%の実質成長目標率そのものに疑問を感じています。例えば、政府が昨年12月24日に示した中長期試算の「成長シナリオ」によれば、今後の生産性の向上(全要素生産性(FTP)の上昇率)はバブル期(1983年~1993年)と同程度を前提としていますが、そもそも少し無理があるのではないでしょうか。


また、実際に税率が上がる2014年4月までの期間で、議員定数の削減をはじめとした「身を切る改革」をどれだけ実施できるかも重要です。昨日、早速、一期生有志で、執行部が衆議院定数の80削減の法案を出さないのであれば、有志で議員立法を提出するとの決意表明を樽床幹事長代行に対して行いました。年末の「大綱」に盛り込まれた「議員定数削減なくして増税なし」は、まさに立法府の責任で、政治家が主導して成し遂げなくてはなりません。財源がないからできません、などという言い訳は通用しません。


なお、今回の閣議決定をめぐって、党の内外で政局的な動きが出てきていますが、そもそも、増税は、国民生活に影響を与える重要な「政策」であると同時に、本質的に、「政局」や「選挙」にかかわる案件だと思っています。簡単に理解を得られるほど、増税の話は簡単なものではありません。しかも、党内基盤が必ずしも強くなく、また、ねじれ国会の下、国会での勢力も安定していない野田政権が取り組もうとしているわけですから、混乱は、むしろ当然のことです。万年与党の自民党政権の下でさえ、消費税増税は困難だったわけですから。


大切なことは、増税という、この極めて取り扱いの難しい案件を、いかに巧みにマネジメントしていけるか。組織としても個人としも、まさに「政治家の力量」が試され、鍛えられる局面だと思っています。税金ほど、「政策」、「政局」、「選挙」のすべてにかかわる案件はないわけで、私自身も、重要な政治的判断を求められる局面が来るのではないかと覚悟をしています。


その際、大事なことが二つあると思っています。一つは、ぶれないことです。多くの利害関係者がかかわり、賛否両論が入り混じる中では、ぶれた方が負けだと思います。いわば、「決めるが勝ち、ぶれるが負け。」だと思っています。決意を固めれば結束は強くなり、ぶれて揺らげば割れていくと思います。


もう一つは、「いかに私心を入れず判断できるか。」このことも併せて重要だと思います。これまでの党内議論を見ていると、増税の必要性を説く人も、増税に反対する人も、ともに国民生活のことを考えて主張を重ねてきたと思います。しかし、どちらの主張にせよ、そこに私心や権力争いの要素が少しでも入れば、それは結局、国民に見抜かれ大きな支持を得ることはできないと思います。


あらゆる政策にはメリットもデメリットもあります。特に、財政制約が極めて厳しい中、今や、メリットだけの政策などないのです。それゆえ、増税反対、賛成、いずれの立場に立つにせよ、どちらがより真剣に国民生活のことを考えて判断しているのか、そのための知恵を絞り尽くしているのか、国民は、その本気度を見比べていると思っています。


したがって、一見、国民に厳しく映る政策であっても、それが継続的な国民生活の安心、安定につながるものであると理解されれば、活路が開けると思いますし、一見、国民負担を軽くしようとする政策であっても、それが結果として、国民政策の不安を助長するものと捉えられれば、国民の理解を得ることはないでしょう。


とにかく、今ほど、政治家として鍛えられる局面はないと思っています。現在、見聞きしていることを一つ残らず体と頭に刻み込み、政治家としての力をつけていきたいと思います。


緊張感のある毎日ですが、下腹にぐっと力をいれてふんばりたいと思います。


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