９月１７日、守る会関東支部では野村旗守氏の講演会を行いました。主題は菅政権との癒着で話題となった「市民の党」の斎藤まさし氏の政治思想と行動についてでしたが、最近、野村氏宇都は個人的な会話や、また当日後半のフリーテーマでの話で、生活保護の実情について話すことが多く、脱北者と生活保護の問題について、ここで三浦の文責の上触れておきます。

まず、野村氏は、生活保護制度を、これから高齢化が進み、経済的にも大震災以後苦境が続くだろう日本において、重要かつ最後のセーフテイネットとして評価しています。ただしここで問題になるのは、現在生活保護を受けている人は２００万人をついに超えており、大阪府では１８人に一人が保護を受給していることです。

かって野村氏は、悪質なグループが生活保護を悪用し、狭いアパートに数人を住まわせて需給を受けさせ、事実上その上前をはねていた問題などを取材し告発してきました。しかも、上層部は悪質でも、その下で弱い人々を助けようとしていたボランテイア個々人は善良な人が多く、二重にこの問題は、弱者や善意の人が悪用されていることを感じたとのことです。この問題についてはこれ以上触れませんが、野村氏は、このような事態が起きると、真に助けるべき人々が保護を受けられなくなるのではないかと危惧していました。また、同じ弱者でも、何らかの政治的組織がバックにある場合は保護が受けやすいケースがみられるなどの傾向もなしとしないとのことです。

そして、現在、脱北者の方々が日本に入国した場合、言葉もしゃべれず、また日本の習慣になれるまで、しばらく生活保護の受給を受けるようになっています。もちろん、数百人の脱北者(しかも全員が受給しているわけではない)の問題で日本経済がどうなるわけでもないでしょう。ただ、生活保護は一度受給するとなかなかそこから脱しにくくなることも確かですし、脱北者の場合、役所の側も、もともと就職は難しいと考えてしまうのか、きちんとした生活指導よりも、保護を継続する方向に流れる傾向があるように見えることも私(三浦）にはあります。

その上で、野村氏はセーフテイネットとしての生活保護は維持するとして、例えば日本政府化自治体が、既に使われなくなったアパートなどが日本にはまだたくさんあるのだから、それを管理・修理して、安い家賃、それこそ１万円とか２万円とかで保護者の住居とし、その分、現在の１３万円ほどの保護費を引き下げてはどうだろうかという一案を提示されました。弱者を切り捨てずに福祉の額を抑えるためには一案と思います。野村氏は、現状では数百人にすぎないとはいえ、今後北にどのような情勢の変化があるかわからないのだから、今から脱北者とその受け入れ後の生活支援の体制について考えておくべきではないかと語りました。

誤解がないよう三浦から付け加えておきますが、６０代、７０代の脱北者や日本人妻は、働きたくてもそう職場はありませんし、脱北者自身、健康を心身ともに害している人もいます。そのような方が保護を受けるのは当然なのです。ただ、５０代以下の人をどのように職業を見つけていくかは難しい問題ですし、それ以前に日本語を学ぶ間は一定の時間も必要でしょう。文化庁による支援で北朝鮮難民救援基金主催の日本語学校ができたのは一歩前進ですし、そこに民団の方々が参加され、授業を受けている脱北者のために就職指導や職業訓練をしようという方向に向かいつつあるのはありがたいことですが、それだけではおそらくカバーできない事態も訪れると思います。日本政府による、福祉制度全体の見直しと再建も含めた措置が必要な事態がすでに来ているのではないでしょうか。

明日は「市民の党」についての報告を行います

(参考情報）
予備役ブルーリボンの会のお知らせ（調査会代表荒木が代表を兼ねる）

予備役ブルーリボンの会では北朝鮮人民軍出身の脱北者で構成する韓国のNGO「北韓人民解放戦線」のチャン・セユル代表を招き「北朝鮮人民軍の動向と拉致被害者の救出」とのテーマで下記の講習会を開催します。

日程：10月1日（土）13:30〜15:30

場所：拓殖大学文京キャンパス　C館303教室
文京区小日向3-4-14　　Tel 03-3947-2261　地下鉄丸ノ内線茗荷谷駅徒歩5分
http://www.takushoku-u.ac.jp/map/map_b.html

講師： チャン・セユル氏・荒木和博

チャン・セユル氏略歴
1969年 3月 31日　黄海南道生まれ
1987年　北朝鮮軍事大学（士官学校）卒業
1991年 　美林軍事大学指揮自動化組卒業
2004年　北朝鮮軍第9軍団で自動化参謀、大尉で転役
2007年　清津建設金属大学数学教師
2008年　脱北・韓国入国
2011年9月9日　北韓人民解放戦線代表に就任

参加費用：1000円