トウモロコシ芯炭、高い吸着力 セシウム90%以上


 

 県環境保健研究センターと岩手大工学部大学院工学研究科の成田榮一教授(無機材料化学)の研究室などは共同で、トウモロコシの芯(コーンコブ)活性炭が放射性セシウムに対し高い吸着性を持つことを解明した。実験ではセシウムを90%以上吸着、野菜への吸収も60%抑制した。農地汚染や風評被害に悩む農家は多く、今後の活用が期待される。

 コーンコブ炭はトウモロコシの芯を焼成して作る活性炭。メッシュ状の表面には微細な穴が多く、土に混ぜ込むと残留農薬や重金属などを吸着する。成田教授の研究室と同センターの佐々木陽(あきら)上席専門研究員らが2003年から研究し、土壌改良材として盛岡市の情報通信業アークネットが05年から、中国企業と共同で製造販売している。

 研究チームは福島第1原発事故を受け昨年6月からコーンコブ炭のセシウム吸着力を調査。セシウムはプラスの電気を帯びており、マイナスの物質に引きつけられる。これを基に、通常より400度低い400〜500度でトウモロコシの芯を焼成すると、より強くマイナスの電気を帯びることを解明した。

 この活性炭をセシウム溶液に混ぜたところ約92%を吸着。活性炭0・4グラムを混ぜた土80グラムにセシウム溶液を加えてキャベツの生育を調べた実験では、炭なしの個体に比べ葉への吸収を約60%抑えた。炭を増やせば、より高い効果が得られる。

 一度吸着したセシウムは再び溶け出すことはなく農地から地下水、川への流出を防ぐ。飼料に混ぜたり牧場にまけば、牧草に含まれるセシウムを家畜の体内で吸着し、排出することも可能だという。

【写真=トウモロコシの芯(奥)を焼成して作ったコーンコブ炭】

(2012/03/25)

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