プール周辺は、厳しい残暑にもかかわらず、人気がなく静まりかえっている。繁茂しすぎた藻で緑色に濁った水に映った空が不気味な色に染まっていた。
プール内の放射線量をくまなく計測した結果、プール水面上=0.42マイクロシーベルト、プール横排水口付近=1.13マイクロシーベルト、プールサイド=0.86マイクロシーベルト(数値はいずれも毎時・水面、地上からそれぞれ10cmの高さで5回連続して計測した平均値を算出)となった。これは、福島第一から約24kmにある南相馬合同庁舎の0.43マイクロシーベルトを上回る線量だ。
排水口やプールサイドのほうが高いという結果は、南相馬市で除染作業を行う東京大学アイソトープ総合センター長の児玉龍彦氏が言う「水が留まりやすく、濃縮が促される地点や汚泥などの放射線量が高い」という論に見事に当てはまる。
実は今から3ヵ月ほど前の6月16日、文科省は福島県の状況を考えず、排水方法にはまったく触れないまま『福島県内の学校の屋外プールの利用について』と題した通達を出した。その内容に県は困惑した、と吉田氏は言う。
「通達に基準値が記載されていると我々は思っていたんですが、まったく書かれていませんでした。通達は『プール使用のための基準値は改めて設定するが、(それとは関係なく)プールの使用は問題ない。月に2回放射性物質の測定をして、検出された場合は推定被曝量を文科省で計算するが、大した被曝量にはならない』と決めつけるような内容でした」
この通達に従って、放射線モニタリングを開始した福島県だったが、6月16日の通達以降、一向に国からの指示はなく、放射性物質が不検出だった学校のみプール使用を許可する独自基準を設定。その結果、近隣の学校同士でもプールが使える学校と使えない学校が発生する不明瞭な状況が生まれた。
国が無視した溜まった水の放射線量について、前出の吉田氏はこう弁明する。
「福島県としては、国が排水の基準を設けていないため正式な線量調査は行っておりません。ただ、市町村などが行った同じような状況のプールでの調査結果を聞いています。その結果は参考値ですので公表はしておりませんが、高い数値ではありませんでした。そのため福島県では、問題は水そのものよりも、底に溜まっている汚泥だと考えております」
汚泥が問題だという見解を示しても、県民の安全を考えれば、数値を公表しない理由にはまったくならない。これでは児玉氏が批判する「数値をいじるだけで、真に守るべき妊婦と子供の存在を軽視している」政府と同じだ。県が主導権を握って、独自の安全基準を県民に示す気がないことを如実に表している。
ただ、この弁明にも頷ける点はある。
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