財務総合政策研究所

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売上高人件費比率

キーワードの説明

○ 売上高人件費比率とは、売上高に対する人件費の割合を言い、人件費が「売上原価」と「販売費及び一般管理費」の双方に分けて計上されるため、売上高営業利益率と表裏の関係にあります。売上高人件費比率が高い場合は、人件費が企業の収益を圧迫していると言えます。

売上高人件費比率(%) 人件費* × 100
売上高
*

[2006年度調査以前]

人件費 = 役員給与+従業員給与+福利厚生費

[2007年度調査以降]

人件費 = 役員給与+役員賞与+従業員給与+従業員賞与+福利厚生費

役員賞与は、2006年度調査以前では利益処分項目として調査を行っていたが、2007年度調査以降は費用項目として調査を行っている。また、従業員賞与は、2006年度調査以前では従業員給与に含めて調査を行っていたが、2007年度調査以降は従業員給与に含めず単独項目として調査を行っている。
人件費には、臨時職員・パート職員分を含む。派遣職員分については、派遣元の業種において計上されている。

グラフで見る1960年度以降の推移

○ 2008年度をみると、製造業、非製造業ともに、売上高の減少が人件費の減少を上回ったため、売上高人件費比率は前年度比で増加しています。

(注) 1. 売上高人件費比率(%)=(人件費/売上高)×100
2. 全産業及び非製造業は金融業、保険業を除く。
(出所) 法人企業統計年報

トピックス

○ 製造業では、人件費上昇を価格に転嫁出来ず営業利益率が低下。製造業・非製造業(全規模)別に、人件費比率と営業利益率の関係を見たのが下図です。なお、時間的な観点も加えると、製造業・非製造業ともに、左上から右下に移行しています。つまり、人件費比率は上昇しており、同時に営業利益率が低下しているということになります。ただし、営業利益率は製造業の方が非製造業よりも急激に低下しています。これは非製造業は国内産業、規制産業が多く、人件費の上昇の多くを価格転嫁する余地があったために利益の低下が小幅でしたが、製造業は海外との競争が激しく製品価格の上昇が抑えられたため、人件費の上昇が利益の低下にそのままつながったためと考えられます。

人件費比率と営業利益率の関係(全産業・全規模)のグラフ
(注) @  営業利益率(%)=(営業利益/売上高)×100
A  人件費比率(%)=(人件費/売上高)×100
(参考文献)  「資本と労働の効率」(大和田雅英)〜財務総合政策研究所編「フィナンシャルレビュー62号(法人企業統計から見た日本の企業行動特集)」