2-(1) ヘッジファンドの誕生とその後の経緯
- ヘッジファンドの誕生は、1949年のアルフレッド・ジョーンズまで遡る。
- 80年代〜90年代にかけて、高いリターンを挙げたファンドの存在等により市場への認知度が増大。
- LTCM危機(1998年)以降、規制論議などヘッジファンド業界に対する議論が活性化。
- 近年は運用資産額が急増。リスク/リターン特性も変化しつつある。
- 40〜70年代 ヘッジファンドの誕生
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- アルフレッド・ジョーンズ、最初のヘッジファンドを設立(1949)。
⇒ロングのみならず、ショートも活用した株式運用を行う。
- 1960年代に入りヘッジファンド業界は急速に拡大するも、運用環境の悪化等により、70年代は低迷。
- 80〜90年代 ヘッジファンドの台頭
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- ジュリアン・ロバートソンの成功記事(Institutional Investor誌、1985)等から、再び規模を拡大。
- ジョージ・ソロス、大規模なポンド売りでイングランド銀行の為替介入に対抗し勝利(1992)。
- LTCM危機発生(1998)。ヘッジファンドへの対応策について、活発な議論が高まる。
- 00年以降 存在感の増大
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- 機関投資家等からの資金流入による運用資産額の急増(00年末:0.5兆ドル⇒07年3月末:1.9兆ドル)
- 投資家層の拡大により、従来の「ハイリスク・ハイリターン型」から「ミドルリスク・ミドルリターン型」へ。
2-(2) オルタナティブ投資としてのヘッジファンド
- ヘッジファンドはオルタナティブ投資の一つ。伝統的投資の対象資産である株式・債券に加え、商品・不動産・デリバティブなど様々な投資対象に高い運用自由度を以て投資を行う。
- 他のオルタナティブ投資には、プライベートエクイティや不動産・商品ファンドなどがある。これらは、それぞれの投資対象資産の買い持ちを中心とする。
伝統的投資
- 投資形態
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公募投資信託など
- 投資対象資産
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株式、債券
- 投資手法(低い運用自由度)
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ロング(注1)のみ
オルタナティブ投資
- 投資形態
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ヘッジファンド、プライベートエクイティ、商品・不動産ファンドなど
- 投資対象資産
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株式、債券、未公開株、商品、不動産、デリバティブなど
- 投資手法(高い自由度)
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ロングに加えとショート(注2)も活用(特にヘッジファンドの場合)
(注1)投資対象有価証券を購入し、保有すること。証券価格が上昇した場合、保有している有価証券を高値で売却することによって利益を得ることができる。
(注2)投資対象有価証券を借入れ、市場で売却すること。いわゆる「空売り」。証券価格が下落した場合、売却した有価証券を安値で買い戻す(その後、借入先に返却する)ことによって利益を得ることができる。
2-(3) そもそもヘッジファンドとは?
- 現時点ではヘッジファンドとは何かについて法的定義を与えている国はない。
- また、世界的にもヘッジファンドの定義に関するコンセンサスが形成されているわけではない。
- 一般的に、ヘッジファンドは以下の特徴があると言われている。
- (1)高い運用自由度
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⇒様々な投資対象、投資戦略
- (2)絶対的な収益を追求
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⇒ショート、デリバティブを活用し市場リスクをヘッジ
- (3)運用者(投資マネージャー)に対する成果主義的な報酬体系
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⇒一般的には収益の20%
- (4)投資家層を富裕個人層、機関投資家に限定
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⇒最低投資金額、解約制限など
- (5)通常、リミテッドパートナーシップ(有限責任事業組合)として設立
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⇒運用者(投資マネージャー)がゼネラルパートナーとして、自己資金を拠出
【出所】IOSCO “The Regulatory Environment for Hedge Funds -A Survey and Comparison”、Hedge Fund Standard Board、Hedge Co.Net、Eurekahedge、London Business School、証券アナリストジャーナル(2000年4月)等より作成。