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魔羅の肖像〜ルーヴル美術館編〜(その2)

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 日本から持ってきた本の一つに、松沢呉一著『魔羅の肖像』(新潮OH!文庫)があった。くたびれ果てていたのにベッドのなかで読み始めて、あまりにおもしろいので、すぐに最後まで読んでしまった。ただし絶対、このひと、ヘンだと思う。書評を私が書いたとして、例えば268ページから275ページあたり(絶対に魔羅は近づけないという条件で、知人女性の性器に指を入れさせてもらったり舌を入れたりして熱心な研究≠行なった部分)を引用しつつ紹介しただけで、私は何人か女性の友達を失うような気がする。それはともかく、『魔羅の肖像』というタイトルは、きっと巧いんだろうけど、私の家族四人はすべて「魔羅」という言葉を知らなかった。広辞林によれば(笑)、もともとは仏教用語である「魔羅」とは、「@人の心を迷わし修行のさまたげとなるもの。A陰茎。男根」とある。要するに、僧侶たちの隠語だったわけですね。そういえば南木佳士『医学生』(文藝春秋)のなかで、解剖学口頭試問の面接時、「君にとってペニスとは何ですか」と厳格なる教授に問われた医学生が、「私にとってペニスとは……諸悪の根源です」と答え、人前で笑ったことのない教授が後ろを向いて肩を小刻みに震わす、という描写があった。  そういう点でいえば、「マックス・マラ」というレディース有名ブランドがあるけれど、わかってんのかな、日本語でも商売しているMax Maraさんたちは。


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 これは有名な「ミロのヴィーナス」ですね。男女を問わず、芸術品における股間は隠すのが一般的でした。

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 しかし、石造による全身裸体では、どうしても魔羅を省略するわけにはいきません。もちろん大きすぎると、そこに視線を釘づけにしてしまう恐れが高まりますし、立っていたりすれば、それはかなりヤバイのではないかと思います。


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 日本ではありえないことですが、ルーヴル美術館ではこのような模写が画家(の卵たち)に許されています。いささか余談なれども、この写真のものでは、本物では女性の左乳首は出ているのに、模写絵では乳首が隠れていました。指摘しようかと思いましたが、やめておきました。ともかく、ここで重要な問題は、絵画の世界ではこのように男性裸体でも巧妙に股間は隠され続けている、という点です。が、実物大ないし等身大の石像では、どうしてもその問題から逃げるわけにはいかなくなってゆきます。





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 この大理石の彫像は、16世紀初期、作者はミケランジェロです。「囚われの身」とか「奴隷」として知られ、デゥノン翼(16〜19世紀のヨーロッパ彫刻などが陳列)で最も有名な彫像でしょう。専門家によれば、この作品は「奴隷の苦悩」を表現しており、なおかつ教皇ユリウス2世の死後、芸術が奴隷の如き抑圧された状態に置かれたことへの抗議と、一般には解説されている。だが、素人の私にはこれは「うっふん」といっているようにしか見えない。タイトルは「恍惚」かと思った。

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