01)中野剛志(経産官僚・京大准教授)によるTPP解説動画と文字おこしです。(著書「TPP亡国論」)。

アメリカの輸出拡大政策を、関税やドル安という側面から分析しています。

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動画
中野剛志先生のよくわかるTPP解説―日本はTPPで輸出を拡大でき...
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中野剛志先生のよくわかるTPP解説―日本はTPPで輸出... 投稿者 soomooAichi

中野剛志氏の経歴をwkipediaより引用

    神奈川県出身
    東京大学に入学。同大学教養学部教養学科(国際関係論)へ進む。
    1996年 同大学を卒業。通商産業省(現経済産業省)に入省。
    1999年 資源エネルギー庁長官官房原子力政策課原子力専門職に就任。
    2000年 エディンバラ大学留学。
    2003年 経済産業省資源エネルギー庁資源・燃料部政策課課長補佐。
    2004年 同課燃料政策企画室併任。
    2005年 エディンバラ大学よりPh.D取得。
    2005年 同省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課課長補佐。
    2010年 京都大学大学院工学研究科(都市社会工学専攻)藤井研究室に助教として出向。
    2011年 京都大学大学院工学研究科(都市社会工学専攻)准教授。

※初稿です。誤字脱字は随時修正いたします。

=====(文字おこし、ここから)

中野剛志「このTPPの議論っていうのがですね。妙なのが……まず簡単に説明するともうご案内の方も多いと思いますが。シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイという非常に小さな国がですね、最初にその協定を結んでいました。ところがこれにアメリカが入ると、入ろうと言って、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、最近ではマレーシアがその交渉に参加するってことになって。それでその環太平洋連携協定TPPっていうものの交渉が行われてる、ルールづくりとかが行われてるんだって話になっています。貿易の完全な自由化、かなり急進的な自由化を目指すと。貿易もものだけじゃなくて、人とかサービスも含めて包括的にっていうふうになってると聞いています。交渉参加に当たって、予め米は例外ですよとかいう、自由貿易のその例外品目を提示して参加するのは、認められないと。類似のその自由貿易の協定で、よくFTAというのを聞くと思うんですけど。あれはアメリカの韓国のように、2国間でやるものなんですけど。これは多国間で」

西部「FTAってのは、フリートレイドアソシエイト……?」

中野「アグリーメント」

西部「アグリーメント、ごめんなさい」

中野「10月の初旬に菅首相がこの、参加交渉の参加を検討すると、まあ、所信表明で言ってから、11月の初旬のAPECまでわずか1ヶ月の間でですね、これだけ包括的な話を急にすると。唐突感っていうのはまず異常なんですが。この議論はかなり大切であるにもかかわらず、マスメディアだけではなく、政府あるいは経済界とかがですね、開国か鎖国かとかですね、平成の開国をすべきかすべきではないか、とかですね、なんか極めて単純極まりない分類でやっていると。まず日本は今鎖国なんかしてないわけですよ。平均関税率でも世界的に見ると低い方ですし。農業に限定した平均関税率だって、かなり低い方です。完全な貿易自由化と、完全な鎖国との間に山ほどバリエーションがあるのにですね……」

西部「さっき聞いてびっくりしたけども。農業の関税ね。なんか日本は700%前後でしたっけ?」

中野「あ、それは物によるんですね」

西部「物による……」

中野「ええ、ええ」

西部「でもそれ平均でいうとEUよりか低いんですね?」

中野「そうです。計算の仕方色々ありますが。もうEUよりも低かったり」

西部「ああ、そう」

中野「ええ……。しているわけです。TPPの参加国はみんな農業国が多かったりするので、この中では日本は高めですが」

西部「ああなるほど」

中野「世界で見ると別に特に高いわけじゃない。議論のレベルがあまりにも単純だってのが、まず、非常に気になる。もう1つ気になるのはですね、なんかそのTPPで日本の農業が危ないっていうのは、聞いてますよね。でたしかにそれはあるんです。ところが一方でTPPをやると輸出を伸ばせると。製造業は得をするが農業は損をする。」

俳優「それで反対してるんですかねえ」

中野「で、どっちがいいのかみたいなですね、そういう農業対製造業みたいな話で議論がほとんどなっているんですが。私の見立てではですね、製造業がTPPに参加して輸出を拡大することは、できません。まずそのこの、TPPが、アジア太平洋の貿易のルールの基本になるとかですね、これに乗らないと世界の孤児になるとかですね、そういった議論がされてるんですが。交渉に参加してるシンガポール、ニュージーランドうんぬんかんぬんのですね。大体9カ国あるんですが。これに仮に日本を加えて、GDPでどれだけ大きなシェアがあるかというと。この10カ国のうち、GDPはアメリカは67%。日本が24%。オーストラリアが5%で。もう9割が日米なんです。で、残りの7か国で4%なんですね。」

西部「7か国で4%。」

中野「しかも、アメリカと日本以外の国は、みんなその、えー、外需依存度が高いと。GDPに占める輸出の割合が3割4割と高い国が多いので。輸出先……内需でもう1回計算しなおすと、アメリカが73%、内需がです。日本が輸出できそうな場所です。アメリカが73%。日本は23%。オーストラリアでは3.7%。」

西部「4%ね」

中野「残り7か国で0.1%。だからTPPでアジアの成長と共に日本が輸出を伸ばすとか言ってるんですけど、0.1%なんですよ。これはアジアの成長とか全然関係ないんですね。これは実質的に日米貿易です。日米自由貿易なんです。」

西部「アメリカとジャパンのね、関係であって、それに入らなければ世界の孤児になるということ自体がもう統計上の全くの間違い、嘘話だってこと」

中野「そうです。東アジアでこれがその、東アジアや太平洋のルールになるためにはですね、韓国と中国が入らなければいけないんですけど。韓国は、FTAを選んでるんですよ。その理由はですね、こんなところに入ったら、日本とかアメリカとかに輸出したい国が7か国もあって、みんなアメリカの味方になるので、ルールメイキングをしたらそれは、韓国や日本の味方にならないから、韓国はだから2国間で勝負しようとしてるわけです。だからこん中に入るのは不利だから韓国は二国間でやってるんですね。それから中国が入らないと意味が無いんですが。中国が入りっこないわけです。中国は自由貿易、関税以前に、人民元問題と言って、為替のコントロールをしちゃっているので、もっと自由貿易の以前の問題の基本的な段階でつっかえちゃってるので、中国も入らない。そうすると大体このメンバーなんですけど。ほぼ日米なんですよこれ。」

西部「アメリカに対して、こういう製造業の輸出増などは関税撤廃しても見込まれないってのはどういうふうに」

中野「それはですね。まず日本は輸出を先にってのは、アメリカに輸出するってことを考えなければいけないんですが。アメリカは、オバマ大統領がこう言っています。5年間に2倍に輸出を拡大すると。アメリカは貿易黒字を増やすと言っています。貿易黒字輸出拡大戦略のためにTPPを活用すると言ってるんですね。つまりアメリカはこのTPPを活用してアメリカの輸出を拡大すると言っているんです。そうするとですね、アメリカが輸出できそうな国ってこの中みると日本しかないので。そうなんですよ。日本に輸出したいとアメリカは言っているんです。しかもアメリカは失業率が9.8%とかいって、ものすごいことになっていて。そんなところに日本が輸出なんか出来っこないんですよ。その逆なんですね。1つそこで疑問なのは、じゃあなんで貿易黒字を増やしたいんだったらアメリカは自由貿易をしようとしているのか、なんですよ。なんで自分は関税を撤廃しようとアメリカはしてるのかなんですが。これ理屈は簡単で、もはやですね、アメリカが輸出を拡大する方策は関税じゃないんです。為替なんですよ」

西部「そうですよね」

中野「だから関税なんかもう関係が全然ないんです」

西部「要するにドル安によって輸出しやすくするということね」

中野「そうです。で、すなわちですね。アメリカの戦略は恐らくこうなんですね。まず、えー、アメリカに味方する国々がいっぱいいる中に日本を巻き込んで多数決で自分の国に有利なようにルールを決めていくと。で、たしかに日本に農業の関税を撤廃させる代わりに、アメリカも関税を撤廃してみせますが、その後アメリカはドル安に誘導するので」

西部「なるほどね」

中野「結局日本の工業製品の競争力は減殺されて、減殺されなければアメリカに現地生産をする。アメリカに工場を建てる。もうそうなっていて、もう為替リスクとかあるので、例えば自動車産業はアメリカで販売する車の66%が、すでに現地生産のものなんです。だからもう関税も為替も関係ないんですよ。ホンダ自動車なんて8割ですよ」

俳優「8割、ホンダが」

中野「ええ。8割現地生産なんで、もうすでに関税なんか関係なくなって。ドル安に誘導すればこの率がどんどん高まるということで。アメリカはですね、日本に輸出先を提供もしないし、日本企業に雇用も奪われることはないわけです。で、ドル安にして、で、日本の農業関税を撤廃させるとドル安によって競争力を更に強化されたアメリカの農産品が関税の防波堤を失った日本市場に襲いかかってくるわけですね。そうするとアメリカは黒字が溜まっていくって、こういう仕組みになっているので。どう考えたってですね、日本がTPPで輸出なんか拡大できっこないと! こういうことなんです」

西部「そういうことだね。言葉は汚いけども、なんか鎖国か開国かの前に、なんか日本はアメリカに対してレイプしてくださいとかさ」

中野「そうですね」

西部「男で言えば去勢してくださいって言っているような」

中野「そうです」

西部「いるような哀れな姿ってことね……」

中野「だからもっと、言い方悪いですけど、私はハッキリ言ってアメリカか中国の官僚になりたかったですけども。日本をカモにするのなんて、本当に赤子の手をひねるようで(笑)。こんなに簡単にできる……」

俳優「そんなモンなんですか」

中野「いやあそんなもんですよね。日本にこういう条件を突きつけて鎖国したいのかと、言えばもうみんな開国しないと生きていけないと言ってこれに参加するっていう、こういうですね、思考回路の人たちですから。それでまあ経団連も政府もそういう調子なんですね。それでいて、日本国家には戦略がないというのはですね、何を言ってるのか理解ができない。」

======

中野「シンガポールとかマレーシアは、そのGDPよりもですね、輸出のほうが大きいという外需依存国の小国です。で、チリとかブルネイとかアメリカ、オーストラリアは、鉱業品、鉱業っていうのはマイニングの方ですね、鉱物資源とか農産物の競争力がある、輸出力のある国ですね。で、ペルーもそうですね。でベトナムやマレーシアはペルーやチリは低賃金労働を輸出したい国ですね。」

西部「なるほど」

中野「この中に入って、よくそのTPPに早く参加したほうが日本に有利なルールが作れるっていうんですけども。このメンバーの中で日本に有利なルールを作るためには日本と利害が一致する国と組まなきゃいけないわけですよ。だけどみんな日本と利害が一致しないんですよ。みんな一次産品の競争力があったり外需依存度が強い。ところが日本は一次産品の競争力がなくて、日本だけが、こん中で日本だけがですよ、工業品の輸出国でしかも内需が大きいんですよ。だれとくんでですねルールを上手く作るんだと。日本の農業はですよ、為替リスクを回避したり関税リスクを回避するためにですね、現地生産ってできないんですよ。」

西部「できないんだよね。まさかね」

中野「まさか(笑)。だからあの日本の農業は確実にやられるんです。」

======

中野「いやそのね、開国って、開国することがいいことだっていうのもですね、よくそういう馬鹿な事を言うなあと。まあその平成の開国とかなんか言ってるんですけど。じゃあ幕末明治の開国はなんだったのかっていう話なんですけど。幕末明治の開国はですね、むしろ開国をしたあと、ずうっとその富国強兵やって日露戦争戦ってとやって、日本は独立するために頑張って、関税自主権の回復のために戦ったんです。で、TPPは逆ですよ。関税自主権を失うためにやっていると」

=====

中野「この本にも書いたことなんですけど。先ほど先生が自由つったらいいってことじゃないってことなんですけど。まさに自由貿易っていうのは安い労働力の製品が国内に入ってきて、物価が安くなるってことなんですね。だからTPPでいうと米も牛肉も関税がなくなったら、例えば牛丼が一杯250円が60円とか50円とかになるって話なんですけど。今物価が下がるデフレで困ってるわけですよね。自由貿易になったらデフレがもっと激しくなるんですよ。しかも今、アメリカがデフレしかかってますから。アメリカで物価や賃金が下がっている。で、自由貿易をやるとアメリカの製品が入ってくるので、アメリカのデフレが日本に輸入されるんですよ。だからデフレがもっとひどくなる。だからデフレが困るって言ってるんだったら、TPPとか自由貿易っていうのは普通は出てこないですねえ。」

=====

中野「だからこのTPPをなんかそのイメージだけで中国を包囲するためだとかですね、戦略家ぶるやつがいるんです。どうしてそうなるのか説明しないでですよ。でも今日説明申し上げたようにですね。TPPで包囲されているのは日本なんですよ。お前が包囲されてるっての、っていうそういう話……」

=====(文字おこし、ここまで)

更に深く理解したい人のための記事:中野剛志が批判する「日韓FTA」とTPPの共通点がムゴすぎる! 日本はもう99%手遅れ!

TPP

=====(ブログ主の考えていること)

中野氏の考えていることがおおむね正しいとすると(学者によって違う説があるのは当たり前として)、ではなぜ政府はTPPに参加したがるのかという疑問が生まれます。また別の古賀茂明氏などの論者が、なぜTPPに参加推進なのかという疑問もあります。

政府は経済的な理由ではなく政治的な理由で動いているのではないか。この政治的な動きに関しては佐藤優氏が言及しています。

さらに古賀茂明氏を始めとする改革派のTPP賛成派には別の思惑がありそうです。それは、国内の改革をTPPという外圧を利用して進めようとするという狙いです。これは外圧を利用しなくては変われないというこの日本という国の情けない状況を映しだしています。

このようにTPP賛成反対には、様々な人達がそれぞれの立場での主張を行っています。どれが正しいのかではなく、どれも彼ら自身にとっては正しいということになります。

私は、上記の誰かについて批判するのではなく、自分にとって正しいと思える考え方はどんなものなのかについて考えていきたいと思います。

※皆さんのお考えやご感想を下部のコメントにてお聞かせください。私と読者の皆さんがあなたのコメントを待ち望んでいます。

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