放射線検出:ソウル市長の「思い付き」に職員ら困り顔

 朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長の「思い付き行政」に、市全体が振り回されている。

 ソウル市蘆原区月渓洞の道路沿いで、住民が高レベルの放射線を検出した問題で、朴市長は6日、市内25の自治区の道路に対する全数調査と周辺住民を対象とした疫学調査を行うよう、職員に指示した。

 ソウル市は、この問題が浮上した今月5日から4日間かけ、高レベルの放射線が検出された月渓洞の道路と同じ年(2000年)に敷設された市内のアスファルト道路349カ所全てを調査。8日には、全地域で放射線量が国際放射線防護委員会の勧告限度(500ナノシーベルト)を下回ったとする調査結果を発表した。

 だが、朴市長はこの結果も待たずに住民と環境団体の要請を受け入れ、2000年とそれ以降に施工したソウル市内のアスファルト道路を全て調査し、住民への疫学調査を実施するよう指示した。月渓洞の道路で検出された放射線については、韓国原子力安全技術院が「有害性はほとんどない」との見解を示していたにもかかわらず、専門家の言葉よりも住民や市民団体の主張に耳を傾けたことになる。

 4日間にわたり休日も返上して働き、調査を終えた市の担当部署職員らは、朴市長の一言で再び新たな全数調査を始めることになった。また、2000年以降に施工した道路は広範囲に広がっており、市でも全体数を把握できていない状況だ。市関係者は「検査結果が出てもいないのに、市民の言葉だけを聞き入れていちいち指示を出しているようでは、市の行政がまひしてしまう」と不満を漏らした。

キム・ジソプ記者
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