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新天地恵庭で理髪店開業へ 福島から避難の菊地さん 「両親や同僚を呼びたい」

(09/16 15:00)

開業へ向けてシャンプー台を洗う菊地寿之さん

開業へ向けてシャンプー台を洗う菊地寿之さん

 【恵庭】福島第1原発事故で、福島県本宮市から恵庭に自主避難している菊地寿之さん(31)が、恵庭市恵央町で理髪店を開業するため準備を進めている。事故から半年、「もう福島には帰れないかもしれないと思っている」と故郷の両親や友人を気にかけながらも、新しい一歩を踏み出そうとしている。(鈴木誠)

 菊地さんが家族4人で避難してきたのは、4月13日。本宮市は原発から約50キロ。当時1歳の長男、4カ月の長女のことを考えて自主避難を決断した。「近所からも高い数値の放射線量が測定された。子どもから将来、何で病気になったのと聞かれたくなかった」

 菊地さんは、県内で低料金の理髪店・美容院を展開するチェーンで複数の店舗に勤務。避難後に社長と話し、北海道で同様の理髪店を開業しようと決めた。

 8月から開業の準備を開始。今週末にも営業を始める。店の名は「ピース」((電)34・1991)、料金は大人で1050円(カットのみ)。「安かろう悪かろうではない店を目指したい」と抱負を語る。

 県内に残っている両親や友人のことが気にかかる。「子どもがかわいそうだけど諦めたと話す友人もいる。避難をしたくても周りの目を気にして動けない人も多い」

 その上で「店を軌道に乗せて、両親など県内に残る人を避難させたい。チェーンの同僚らも家族を連れて、半年交代ぐらいで一緒に働いてくれればうれしい」。期待を込め、開業を待つ店に目を向けた。

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